スイスの視点を10言語で

スイスで8年ぶり狂牛病

ウシ
スイスで8年ぶりに狂牛病が確認された Keystone

国際獣疫事務局(OIE)によると、スイス中部の農場で、牛海綿状脳症(BSE)の感染牛が確認された。スイスで狂牛病の症例が報告されたのは2012年以来8年ぶり。

連邦食品安全獣医局(FSVO)によると、BSE感染が確認されたのは今年初めで、アインジーデルン(シュヴィーツ州)の農場で飼育されている13歳の牛1頭。

脳幹のサンプルを分析用に採取し、牛は1月23日に殺処分した。州の獣医は「病気が理由ではなく、高齢で足が不自由だったから」と説明している。分析の結果、BSE感染は遺伝的な突然変異によるもので、食物からではないという。

FSVOはswissinfo.chに対し、これは単独のケースであり、特別な措置は必要ないとした。病気が広がるリスクもないという。

1990年代は大問題に

BSEは1986年、英国で初めて確認された。英国以外の欧州での確認例はスイスが初めてで、1990年に報告があった。BSEは脳などの神経組織に存在する「プリオン」と呼ばれるたんぱく質が異常化することで起きると考えられ、異常型プリオンを含むえさなどを食べた牛に被害が出た。

牛肉の需要減により、スイスの食肉の売り上げは当時、約10%減少した。

スイスで狂牛病問題が最も大きくなったのは、全国で約70件近くの症例が確認された1995年だ。。

獣医局は1999年、BSEを早期検出できるテストを導入。2001年には肉や骨粉入りの家畜用飼料を全面的に禁止した。

狂牛病の被害をめぐっては、スイスの農業従事者2千人以上が多大な損失を被ったとして国に損害賠償を求める裁判を起こしたが、連邦最高裁判所は2006年、訴えを却下した。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイス連邦警察官の後ろ姿

おすすめの記事

スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス検察当局は、国民投票の提起に必要な署名が偽造されたとの疑惑を捜査している。収集代行業者が過去の署名を使い回したり、金銭を見返りに署名を集めた可能性がある。

もっと読む スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
1000人以上のアルプホルン奏者

おすすめの記事

1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのニトヴァルデン準州クレヴェンアルプで31日、1000人以上のアルプホルン奏者が集まり、「アルプホルンを合奏する人数」の世界記録を更新した。

もっと読む 1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
アールガウの原発

おすすめの記事

スイス政府、原発の新設解禁に前向き

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は28日、「すべての人にいつでも電気を:ブラックアウト(全域停電)を止めよ」と題するイニシアチブ(国民発議)に反対を表明した。ただ、新たな原子力発電所建設の解禁には原則として支持する考えを示した。

もっと読む スイス政府、原発の新設解禁に前向き
スーダンの状況

おすすめの記事

スーダン停戦交渉、和平合意なく終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ジュネーブ地方で10日にわたって行われたスーダン内戦の停戦協議が23日、停戦合意に達することなく終了した。

もっと読む スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
スイスのマッターホルン

おすすめの記事

マッターホルンで登山者の滑落死相次ぐ

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの名峰マッターホルンで16 日、登山者が下山中に800m下の氷河に滑落し死亡した。同じ山では14日にも、別の登山者2人が滑落死した。

もっと読む マッターホルンで登山者の滑落死相次ぐ

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部