世界一周に向けて着々と
革新的な飛行機「ソーラー・インパルス」。ピカール氏にとっては「永続的な発展」の代名詞でもある。
この試作モデルを使って、来年には試験飛行が行われる予定だ。ただし、この試験飛行は地上からほんの数メートルのところを飛ぶだけだという。
クリーンな飛行機
試作モデルの翼長は61メートル。世界最大の大型旅客機「エアバスA360」と同じ長さだ。翼長がこれだけ長いのには訳がある。面積にして約200平方メートルという大量の太陽電池を載せなければならないからだ。それに引き換え、重量の方はわずか1.5トンしかない。最高飛行高度は8500メートル、最高時速は70キロメートルである。
1機の飛行機を太陽エネルギーだけで動かし、軽量飛行機に安定性を与えることは35人から成る「ソーラー・インパルス」の開発チームにとって大きなチャレンジだ。
一方、資金面でこのチームを支えているのは、ドイツ銀行、オメガ ( Omega ) 、ソルヴェー ( Solvay ) の大手企業。これまでに6500万フラン ( 約65億円 ) を出資している。だが、2011年の世界1周までに、この試作モデルとは別に翼長80メートルの飛行機も必要だ。このプロジェクトにかかる費用は総額約1億3000万フラン ( 約129億円 ) 。ソーラー・インパルスのチームは、スポンサー探しというもう1つの課題もクリアしなければならない。
世界1周に挑む前に、ピカール氏はまず2010年に大西洋横断を実行するつもりだ。その彼は、「危険なのは『ソーラー・インパルス』のパイロットになることではありません。石油を好きなだけ使えると思い込んで、環境を破壊してしまうことです」と語る。
swissinfo、外電
ベルトラント・ピカール氏は2011年、新しく開発した太陽電池飛行機で世界を1周し、5つの各大陸に降り立つ予定。
飛行機の操縦席は1人しか座れないため、ピカール氏とパートナーであるアンドレ・ボルシュベルク氏が交代で操縦に当たる。
スポンサーが出資する同プロジェクトの費用総額は約1億3000万フラン ( 約129億円 ) 。
スイス・フランス語圏出身の心理学者ベルトラント・ピカール氏は、1999年3月、世界で初めて熱気球で無着陸世界1周を果たし、世界にその名を知らしめた。
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