スイス国立銀行(中央銀行)のトーマス・ジョルダン総裁は、フラン相場のイタリア選挙後の高騰や世界的な貿易戦争の脅威を背景に、政策金利の引き上げを検討するのは早すぎるとみている。
このコンテンツが公開されたのは、
ジョルダン総裁は8日、インターラーケンで開かれたスイス経済フォーラムでCNNマネー・スイスのインタビュー外部リンクに応じ、利上げは「現時点では全く早すぎる」と断言。「 (為替)相場の動きを踏まえると、現状は依然としてかなり脆弱だ。スイス中銀がマイナス金利政策を継続する理由はそれだ」
ほとんどのアナリストは、ロンドン銀行間金利(LIBOR)3カ月物が年内は足元のマイナス1.25%~マイナス0.25%の間で動かないと予想している。ジョルダン総裁の発言は、スイス中銀が金利をプラス圏内に引き上げるまで時節を待つという一般的な予測を裏づけた。
フランの対ユーロ相場は、4月に一時1ユーロ=1.20フランを下回ったものの、イタリアの政治的混乱を背景に1.15フラン台まで値上がりした。 3月の選挙から連立政権の樹立まで2カ月以上を要し、欧州の政治・財政への懸念が広がったためだ。
不安定な欧州の見通し
反体制的なイタリアの新連立政権は当初、欧州連合(EU)離脱を掲げて統率を図った。ジョルダン総裁は同インタビューで、イタリアの離脱は「とてもとても起こりそうにない」と考えていたと明らかにした。
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
おすすめの記事
新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。
もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
おすすめの記事
スイスのサマータイム廃止はいつ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで夏時間(サマータイム)が始まった。3月31日午前2時にすべての時計の針が1時間ジャンプし、午前3時を指した。だが夏時間制はとうの昔に廃止されるはずではなかったのか?
もっと読む スイスのサマータイム廃止はいつ?
続きを読む
おすすめの記事
スイス郵便の銀行部門、500人リストラ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス郵便の銀行部門・ポストファイナンスは5日、2020年末までにフルタイムの従業員500人を削減すると発表した。マイナス金利政策による収益減が背景にある。
もっと読む スイス郵便の銀行部門、500人リストラ
おすすめの記事
マイナス金利政策への苛立ちは頂点に
このコンテンツが公開されたのは、
マイナス金利政策は金融業界にとって悩みの種だ。それが長引くほど、銀行家からの非難の声は大きくなる。スイスのプライベートバンキングやアセットマネジメントのロビー団体は中央銀行の総裁と財務相を招待し不満をぶつけた。
2015年1月のマイナス金利政策の導入以降、スイス国立銀行(中央銀行)は現金を金庫に眠らせる国内銀行に30億フラン(約3400億円)以上を課してきた。
超法規的な政策金利はこの数年、伝統的な投資に対し大きな損害を与えてきた。銀行や保険会社、資産管理会社や年金基金などが保有する国債がその代表だ。
もっと読む マイナス金利政策への苛立ちは頂点に
おすすめの記事
広がらぬ金利差、広がる副作用
このコンテンツが公開されたのは、
「マイナス金利政策はこれまで、我々が狙った通りの効果をみせている」。昨年12月の政策決定会合後の記者会見で、トーマス・ジョルダン総裁はこう強調した。 スイス中銀はマイナス金利導入の狙いを「スイスフランの魅力を減らす」…
もっと読む 広がらぬ金利差、広がる副作用
おすすめの記事
スイス中銀、1~3月期は68億フランの赤字に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行)が26日発表した2018年1~3月期の決算は、68億フラン(約7500億円)の赤字となった。ドル安などが進み、外貨建て資産が70億フラン目減りしたことが主な要因だ。
もっと読む スイス中銀、1~3月期は68億フランの赤字に
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。