スイスの視点を10言語で

自殺ほう助団体「ライフサークル」、新規会員の受け入れを終了

エリカ・プライシヒ
swissinfo.chのインタビューに答えるライフサークル代表のエリカ・プライシヒ氏。2021年、バーゼルで撮影 Kaoru Uda

スイスの自殺ほう助団体ライフサークルが、1日付で新規会員の受け入れを終了した。今後は既存会員の支援に注力する。

ライフサークル代表で医師のエリカ・プライシヒ氏(64)が同日、団体のウェブサイト上で正式に発表した。

ライフサークルは、不治の病で苦しむ人らへの自殺ほう助を行う団体として2011年に設立。自殺ほう助の合法化を各国に訴える活動の一環で、安楽死が禁止されている国の患者も受け入れてきた。同氏はこの10年の間にカナダ、オーストリア、スペインやドイツなどで自殺ほう助や安楽死が相次いで合法化されたことに触れ、既に大きな成果があったと振り返った。

おすすめの記事

また同氏が定年年齢を迎えたことも理由の1つにある。プライシヒ氏は10月、会員向けに発行したニュースレターで「設立時点で、定年の年を迎えたら団体を閉鎖するつもりだった。ただ(既存会員への支援を)終わらせるつもりはない」と説明した。

既存会員については、プライシヒ氏がこれまで通り自殺ほう助を行う。

スイスでは自殺ほう助が合法だ。国内に複数ある自殺ほう助団体のうち、ライフサークルのほかディグニタスなど一部の団体が、安楽死が禁止されている国に住む人たちを受け入れている。

おすすめの記事
ヨシさんの手

おすすめの記事

スイスで安楽死した日本人が最期に伝えたかったこと

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで今夏、1人の日本人男性が自殺ほう助でこの世を去った。身体の運動機能が衰える神経難病に侵された彼が、どんな思いで9千キロメートル離れたこの地に降り立ち、命の灯を自ら吹き消したのか。

もっと読む スイスで安楽死した日本人が最期に伝えたかったこと

プライシヒ氏は患者の自殺ほう助を行うかたわら、他国での自殺ほう助合法化を訴える活動を続けている。また同氏は精神疾患を持つ女性の自殺ほう助に対し、適切な手続きを怠ったとして殺人罪などに問われており、この刑事事件は現在も係争中。

おすすめの記事
エリカ・プライシヒ

おすすめの記事

精神病患者の自殺ほう助医師、第2審も殺人罪は無罪 スイス

このコンテンツが公開されたのは、 精神疾患を持つ女性の自殺をほう助したとして、殺人罪などに問われた医師でスイスの自殺ほう助団体代表エリカ・プライシヒ被告に対する控訴審で、バーゼル・ラント準州裁判所は第1審に続き、殺人罪では無罪とした。

もっと読む 精神病患者の自殺ほう助医師、第2審も殺人罪は無罪 スイス

ニュース

眼下に広がる町と湖

おすすめの記事

ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心

このコンテンツが公開されたのは、 6月15~16日に開催されるウクライナ平和サミットの舞台として、ルツェルン湖を望むホテル「ビュルゲンシュトック・リゾート」が注目を浴びている。かつては庶民も受け入れられる高級リゾートして地元に愛されていたが、近年は事情が違うようだ。

もっと読む ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
英語でスイスと書かれたステージでパフォーマンスをするノンバイナリー男性

おすすめの記事

ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も

このコンテンツが公開されたのは、 欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデン南部マルメで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のNemo(24)が優勝した。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行われた。

もっと読む ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
ビクトリノックスのアーミーナイフ製造現場

おすすめの記事

ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。

もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
管制室

おすすめの記事

スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。

もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
裁判所のドア

おすすめの記事

「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。

もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
財布からお金を取り出す人

おすすめの記事

スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。

もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部