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イースターには金のうさぎが一番

50年の歴史を持つ金のうさぎ。すぐに食べられてしまうので寿命は短いが最高の人気者。 Lindt & Sprüngli

キリストの復活を祝うイースター。スイスでは春の訪れを告げるイースターの時期になると、うさぎのキャラクターが街に氾濫する。特にチョコレート大手のリンツが期間限定で販売する金紙で包まれたうさぎの人気は格別である。

スイスインフォのフォトジャーナリスト、クリストフ・バルジガーによるベルン市内に現れたうさぎの写真アルバム「イースターのうさぎ」も同時にご覧下さい。

「金のうさぎ、さまさまだ。わが社の将来を約束してくれるから」とリンツ&シュプルングリ(以下リンツ)のマーケッティング販売担当者、ウヴェ・ゾンマー氏。リンツはチューリヒ市から車で10分とかからない郊外に本社を持つチョコレートの大手。日本にも輸出している。リントは大規模な工場で製造されるチョコに、生チョコ風の高級感を加えた新作の「プレミウム」で近年成功を収め、売上を伸ばしている。金紙で包まれたチョコレートのうさぎは、スイス国内向けに今年は、30万匹用意された。人口700万人のスイスでは、23人に1人が買うことになる。

うさぎが庭を飛び跳ねた

 50年以上前に製造がスタートした金のうさぎだが、作られるようになったきっかけには「ちょっとしたエピソードがある」と前出のゾンマー氏。リンツで働くチョコレート職人のマスターの息子の一人がまだ雪の積もる3月、庭で飛び跳ねるうさぎを見つけた。もっとよく見ようと近づいたのだが、逃げられてしまった。がっかりする子供を見てお父さんは、チョコレートでうさぎを作ることを思い立った。しかも、逃げてしまわないように、首には鈴がつけられるようになったという、落ちも付いている。

うさぎのように繁殖

 一人のチョコレート職人が思いついたアイディアは正に「うさぎが繁殖するように広がった」。50グラムのミニうさぎから100グラム、200グラムとあり、一番大きいものは1キロもある。チョコレート好きが多いスイスらしく、1キロのうさぎは既に完売、とゾンマー氏は嬉しそうに語った。

 うさぎはスイスのイースターには必ず登場する風物だが、リントの金のうさぎの人気は高まるばかり。ドイツ、オーストリアなど隣国はもとより、いまでは英国、米国でも大いに飛び跳ねている。

 すぐに食べられてしまってその命が短いのが、なんとも残念な金のうさぎである。

スイス国際放送 ロバート・ブルックス (佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

イースターに跋扈する金のチョコレートのうさぎは30万匹。

寿命はきわめて短い。

世界各国で特許をとっていてフェイクは許されない。

リントの総売上の1割がイースターの季節で占められる。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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