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ウィンタースポーツデビュー

ドイツの黒い森にあるホーへンシュヴァント(Höchenschwand)にて。子どもと一緒ならやっぱりソリ遊び。ソリ専用コースでなくても適当な斜面があればいつでもどこでもできてしまうのがいいところです。でも、滑った後は子どもを引っ張ってまた坂を上らなくてはいけないのは重労働ですが・・・。 swissinfo.ch

 夏はキャンプにカヌーにハイキングなどと張り切ってしまう我が家ですが、ウィンタースポーツとなるととたんに行動範囲が狭まります。ひざが弱いだの、風邪気味だの、子どもが小さいだのと言い訳を探すのはとても簡単なのですが、工夫をすれば冬だっていろいろなスポーツを楽しめるはずです。娘も2歳になりずいぶん動けるようになったので、今年の冬は記念すべきウィンタースポーツ本格デビューとなりそうです!?

 小さい子どもと一緒にできる遊びとしてすぐに思い浮かぶのはソリ遊びかもしれません。ですが、スキー場にあるソリ用コースを一度でも滑ったことのある人なら分かると思いますが、見かけによらず意外と真剣勝負の遊びです。急斜面や急カーブがあったり、スピードが出すぎたり、時には猛スピードで飛ばしてくるスキーヤーやボーダーの間を縫って滑る合流地点もあったりと、実は結構命がけなのです。その上、ソリに乗っているだけなのですぐに身体が冷えてしまいます。さすがに娘とそんな激しいソリ遊びをする気にはなれないので、散歩のついでに適当な斜面を見つけて滑ることにしました。

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 この日の目的地はドイツの黒い森(シュヴァルツヴァルト/Schwarzwald)。チューリヒ市郊外にある我が家からは車で1時間半ぐらいの道のりです。スイスにある4つの原子力発電所の一つライプシュタット(Leibstadt)原発を横目にライン川を渡り、国境の町ヴァルツフート(Waldshut)に入ります。国境沿いのドイツの町はどこも同じだと思いますが、土曜日のヴァルツフートも例に漏れず買出しに来たスイスナンバーの車でごったがえしています。物価の安いドイツで一週間分の買い物をして、さらに一人300フランの免税枠を最大限に利用すればかなりの節約になります。この免税枠は食料品や日用雑貨にも適用されるので、税関の窓口に長蛇の列ができることもしばしば。

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  さて、このヴァルツフートから北上してホーへンシュヴァント(Höchenschwand)にある野外スポーツセンター(Natursportzentrum)へ。ここにはクロスカントリーのコースのほかハイキングコースも整備されていて、散歩を楽しむ人や私たちのようにソリ遊びをする人たちで賑わっています。眺望もよく、目の前には黒い森が折り重なるようにして広がり、遠くにはアルプスのシルエットが浮き立って見えます。娘のソリデビューもなんとか無事に果たし、こうして週末の楽しみがまた一つ増えました。

 ソリやスキーと違い、遠出をしなくても都会でできるスポーツといえばアイススケートです。チューリヒ市には期間限定でエリコン(Oerlikon)、ホイリート(Heuried)、ドルダー(Dolder)の3カ所に野外スケートリンクがオープンします。子ども向けに補助具の貸し出しサービスがあることを知り、さっそく私もトライしてみたくなりました。私が訪れたエリコンのスケート場では味気ない鉄の棒の歩行器でしたが、シロクマやペンギンの動物の形をしたものもあるそうで、子どもの恐怖心をやわらげるには効果がありそうです。ほかにも小さい子ども向けに安定性のある2枚歯のスケート靴も貸し出してくれるそうですが、残念ながらこれにもお目にかかることはできませんでした。

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 野外スケートリンクのオープン期間は3月11日まで。さらに、エリコンとホイリートでは2月1日と3月7日はキャンペーンで18時からの入場が無料だそうです。今回訪れたエリコンは住宅やビルに囲まれた町中にありますが、ドルダーはチューリヒ湖を見下ろす小高い丘にあり木々に囲まれて雰囲気も良いとのこと。近くには有名な5つ星ホテル「ザ・ドルダー・グランデ(The Dolder Grande)」があります。今回は10分間しか氷上に立ってくれなかった娘をなんとかうまくそそのかして、次回はドルダーに足を延ばしてみたいと思います。こんなふうに子どもを通して新しい冬の楽しみ方を開拓しつつ、スイス生活の魅力を再発見できるといのもまた嬉しいものです。

   ところで、スケートを自らする気にはなれなくても、美しい氷上の舞いなら誰でも観てみたくなるのではないでしょうか。毎年この時期になるとフィギュア界のスターたちによるショー「アート・オン・アイス(Art On Ice)」が開催されます。今年は2月2日から5日まではチューリヒで、その後7日、8日はローザンヌで行われます。私はスイスに来た最初の年に観に行き、ライブミュージックとスケートの絶妙な組み合わせと美しい演出にすっかり魅了されてしまいました。きっと今年も多くのフィギュアファンの心を掴む舞台が繰り広げられることでしょう。

中村クネヒト友紀

2007年にスイスに移住。現在ドイツ人の夫と2歳の長女と共にチューリヒ州に暮らす。職業、翻訳者。趣味は染織、キャンプ、山歩き。近頃は子どもを通じてスイス人と知り合う機会が増えて嬉しいものの、スイスドイツ語には悪戦苦闘中。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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