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スイスの国際競争力、10位に転落

2月7日のインターネット.エキスポ(チューリッヒ)で。 Keystone Archive

ローザンヌ国際経営開発研究所(IMD)が25日刊行した「ワールド・コンペティティブネス・イヤーブック(国際競争力年鑑)」によると、スイスは昨年7位から10位に転落した。スイスの2000年の経済成長率は3.4%だったにも関わらずの転落だ。1位は米国、2位はシンガポール、日本は26位だった。

「ワールド・コンペティティブネス・イヤーブック(国際競争力年鑑)」は世界49ヶ国について、賃金、調査・研究への投資、教育など286項目を比較したもの。調査には3、623人の財界人が協力した。スイスの後退について「スイス以外の諸国も我々と同様か、それ以上に良くやったどいう事だ。」と競争力プロジェクトのディレクター、ステファン・ガレッリ教授は言う。2001年度版で首位に立ったのは米国、2位のシンガポールまでは昨年と変わらず、3位には昨年4位のフィンランドが上がった。またアジア諸国では、香港が6位、台湾8位、日本26位、韓国28位だった。

純粋に経済だけを見れば、スイスは大変良く管理されているとガッリ教授は言う。資本費用は低く(世界ランキング2位)、金融取引は確実で(3位)、労働立法は適応性があり(4位)、個人資産は保護されており(4位)、政府決定は迅速に実行され(5位)、教育制度も整っている(5位)。また、住民1人当たりに対する公共投資では、保健では3位、一般設備で4位に上がり、労働訓練や働く場での倫理尊重でも上位にランキングされた。が、移民法、特定の産業での保護主義、国際経済合意に関する抑制的な態度、グローバリゼーションに対する準備、起業へのダイナミズムの無さ、変化や外国に対する負サの開放性の欠如などの点で、スイスの評価は低かった。

IMDリポートによると、スイスの競争力は他国に比べて循環的でなく、基盤が硬直しているという。「スイスの社会、複合性、多様性、繁栄が国民を変化に対して受動的にしている。結果、世界が成長している時はスイスの成長率は減速し、世界の成長が減速してもスイスの成長率にさほどの変化はない。2001年のスイスのチャンスは、ここら辺にあると思う。」とガッリ教授は言う。世界経済の46%を占める米経済と日本経済の減速は、世界に特にアジア諸国に波及するとリポートは指摘する。そして、2000年は経済的繁栄の年だったが、2001年は経済的な二日酔いの年になるだろうと表現する。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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