
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部

米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。反対派はイーロン・マスク氏が関わっていることや健康被害などを懸念している。

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イーロン・マスク氏が率いるスペースXは6月初旬、スイス南部ヴァレー(ヴァリス)州ロイク村にアンテナ40基を設置する計画を発表した。アンテナは村の高台に設置される予定で、すでに複数の大型衛星アンテナがある。
計画に対し、ロイク在住の医師ハンナ・シュナイダー・エティエンヌ氏を中心とした反対グループは、「人々の健康に及ぼす」として異議を申し立てた。
シュナイダー・エティエンヌ氏はフランス語圏公共放送(RTS)に対し、「許可証にはアンテナ40基の設置計画が記載されている。そこから多くの放射線が私たちの方に向かって放たれることになる」と語った。「反対運動を支持する技術専門家は、アンテナだけでなくロイク村にも放射線が降り注ぐだろうと話している」
アンテナ設置にイーロン・マスク氏が関わっていることや、データ主権(国や地域が自国のデータに対する管理権を持つこと)への懸念もある。
ヴァレー州議会のアドリアン・ピニョ議員も同じ考えだ。「こうした地球全体をつなぐプロジェクトは、特定の企業に莫大な力を与えることになる」とRTSに語った。「膨大な量の機密データが送信される可能性があるため、国として管理するのが望ましい」
ロイクのアラン・ブレジ村長は、アンテナ設置に肯定的だ。「これは経済的なチャンスになるだろう」
「現代のアンテナでさえ、健康への懸念は常にある」。「古い構造物は最大3万6000kmの電波を伝送するが、新しいものは550kmしか伝送しない。エンジニアとしての私の視点からすると、危険性は低い」
英語からの翻訳:大野瑠衣子

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