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スイスはいまも安全か

バーゼルのサッカー場で発生したフーリガンによる暴動で、新しい取締法を作る動きもでている

(Keystone)

連邦司法警察省による「2005年スイス国内の安全リポート」がこのほど発表された。今年のリポートでは、テロが欧州諸国を狙うようになったため、スイスも欧州の一国としてテロの標的になる可能性が高いと分析された。

このほか、極右グループ、フーリガン、若者の暴力が問題視されるという。市民の自由の権利と取り締まりのバランスが今後の課題とリポートは締めくくっている。

 これまでスイスは安全な国として、観光客を呼び込み、企業を誘致してきたが、世界的にテロの脅威が広まり、極右グループの拡大や組織犯罪が先鋭化し、若者の暴力の増加などが目立つようになったとリポートは警鐘を鳴らしている。

諜報活動の重要性

 イスラム教の聖戦、ジハードは2005年に転機を迎えた。リポートは、スイスにおけるイスラム原理主義者によるテロの危険性を新しく位置づけた。2005年にロンドンで発生した同時爆破テロ事件を通し、欧州各国に住むイスラム原理主義者が身近なところで、しかも組織的に計画されているのではなく、個人が自爆テロなどを起こすことが分かったからだ。

 個人によるテロ計画は警察としてもつかみにくいが、欧州の大都市のみならず、スイスにもテロ活動が地下で進んでいる可能性は否めないという。テロ対策に真剣に取り組んでいると外国からの信頼を得るためにも、情報収集活動が重要視されるとリポートは主張している。

極右の暴力に対する不安

 スイスでテロが発生する心配をする市民は少なく「スイスは比較的安全な国」というイメージはいまだにある。しかし、若者の暴力、極右、極左グループ、フーリガン、人身売買といった犯罪などに対する不安が増加しているとリポートは報告している。

 極右や極左による暴力が、スイス国内の安全を脅かすまでには至っていないものの、05年には極右による暴動事件が111件発生した。軍隊では人種差別的暴力事件も発生した。極右グループに所属するとされる人が前年には200人だったのが、1200人にも増加。これにおよそ600人のシンパが加わるという。極右によるコンサートなどが目立って多く開催されているという。公共施設を壊すような暴動よりも、個々の市民に直接暴力を振るう事件が目立ち、犯人の年齢もより若くなっている。

 極左の暴動も問題視されいている。毎年1月末にダボスで開催される世界経済フォーラムの主旨に反対し、反グローバル化を掲げるグループの暴動は時と場所を問わず起こるようになった。スイス国内ではおよそ2000人がこうした極左グループに属すると見られている。
 
 また、フーリガンは極右・極左グループより深刻。2年後に控えるサッカーのEURO2008に向けて、共同主催国であるオーストリアと協力した対策が急がれると指摘している。

企業スパイや人身売買

 暴力とは直接関係がないが、スイスの経済に大きな影響を与えるのが産業スパイ。経済界や科学開発分野で活発だった。リポートではアジアの某国の活動が指摘されているが、これは中国と見られる。

 また、売春に絡む人身売買も多発している。スイスでは売春は合法だが、人身売買は禁止されている。その総額はおよそ32億フラン(約3000億円)と見られるが、売春に関連した暴力事件が頻繁に起こるようになり、人身売買も増加しているという。2005年3月には子供の人身売買などを厳しく取り締まるための青少年保護法の改定案が政府から提出された。

 安全と言われてきたスイスで「暴力のグローバル化」が進まないことを望みたい。

swissinfo、佐藤夕美(さとうゆうみ)

キーワード

極右翼グループによる暴力事件は1800件と見られる。
極左翼グループで暴動を起こす人はおよそ2000人と見られる。
売春に関連した人身売買の総額はおよそ32億フランと見込まれる。

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