スイス国籍を取りたがるのはイタリア人よりロシア人

スイス国籍は今なお、ヨーロッパで取得が最も難しい部類に入る © Keystone / Christian Beutler
このコンテンツは 2020/03/05 11:00

誰もがスイス人になりたいと望むわけではない。遠い国の人々の方がヨーロッパの出身者よりもスイス国籍に魅力を感じている。また、年齢と祖国への愛着も関係する。 

最近の調査によると、スイスに帰化するケースが最も多いのはスイス在住のロシア人で、一方オーストリア人はスイス国籍をわざわざ申請しないことがわかった。連邦移民問題委員会(EKM/CFM)とジュネーブ大学が初めて、帰化に関する詳細なデータを発表した。これにより地方レベルでの手続きの差異がわかるだけでなく、スイス国籍を取得する人々の国籍についての情報も得られる。

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2011〜17年の間に、スイス在住のロシア人の10%余りが帰化した。ロシア人は比較的移動性の高い国民だが、スイスに来るロシア人は長期的にここで暮らすことを望むと、今回の調査の共同報告者であるジュネーブ大学人口統計学・社会経済学研究所のフィリップ・ヴァネール教授は話す。 

「帰化申請をする人はここに長期的に定住し、政治にも参加する意志がある」と教授は説明し、スイスのパスポートを持っているとロシアのパスポートよりも旅行しやすいと付け加える。また教授は別の要因も挙げる。「民主度がより低い政治体制のもとで暮らしていた人々にとっては、選挙や投票に参加できるという可能性は特に魅力的に映る」 

イラク人(6.01%)と、スイス最大の移民集団の一つであるスリランカ人(3.16%)も帰化率が高い。「政治的な理由で出身国へ帰りたくない、あるいは帰れない人々だ。こういった人々にとって、帰化は受け入れてくれた国への感謝の印でもありうる」と教授は説明する。 

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一般的に、スイスのパスポートは周辺諸国出身者にとっては比較的魅力が薄い。スイス在住のオーストリア人の帰化率は最も低く0.69%で、スイスで最大の外国人コミュニティを形成しているイタリア人住民の中で2011〜17年にスイス国籍を取得したのは1.24%に過ぎなかった。 

「欧州連合(EU)市民にとっては、既にヨーロッパの労働市場にアクセスでき、また域内を自由に移動できるため、帰化にほとんどメリットがない」とヴァネール教授は説明する。その上、EU市民はより遠い国からの移民に比べてスイスに居住する期間が短い場合が多い。 

また教授は、帰化する人は33歳前後で行うことが多いと言う。今日、イタリア人は25〜30歳でスイスにやってくることが多く、帰化の資格が得られる10年後にはもはやその必要性を感じなくなっている。さらにイタリアは1991年まで二重国籍を認めていなかったため、それまでは多くの人が帰化を諦めていた。 

やはりスイス国内で有数の移民集団であるコソボ人は、イタリア人よりも帰化率が高い(2.28%)。「帰化したのは旧ユーゴスラビアでの戦争中にやってきた若者たちだ。またコソボ人は紛争中に快く受け入れてくれた国に愛着を感じていて、さらに月給200ユーロ(約2万4千円)の国に帰りたいとは思っていない」


都市部で高い帰化率

スイス国籍の申請手続きは複雑だ。それは、スイスのパスポートを取得するのに適切な人物かどうかの判断に地方自治体、州、連邦政府が関わるからだ。 

連邦移民問題委員会とジュネーブ大学のデータによると、地域間の調和を図る努力にもかかわらず、今もかなりの自由裁量が認められていることがわかる。「2018年に新しい国籍法が発効して以来、ある程度標準化が行われた。特に言語要件についてだ」とヴァネール教授は指摘する。「しかし、自治体レベルでの調査によると、自治体政府にかなりの解釈の自由が認められている」 

一般的な傾向としては、農村部よりも都市部で帰化数が多い。教授によると、「誰もが知り合いの小さな町では失敗や汚名の恐怖が強く、無名でいられる都市部ではそれが比較的薄い」。

規制を厳格化する州 

今年2月9日、アールガウ州の有権者はスイス国籍取得の条件を厳しくするイニシアチブを可決した。有権者の64.8%が、過去10年間に生活保護を受給した人のスイス国籍取得を拒否することに決定した。 

ティチーノ州も2月18日に似た道筋をたどった。ティチーノ州政府は国籍法の厳格化を求める保守派のスイス国民党の動議を承認し、これにより、過去10年間に受給した生活保護給付金を返済していることが必要となった。従来は過去3年間が対象だった。

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