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プライベートバンク法律の不確実性を懸念

Keystone

銀行機密の柔軟化に対して四苦八苦するスイスの銀行の態度は、法律の不確実性へとつながったといくつかのスイスのプライベートバンクは嘆く。法的に問題なく税金を支払っている顧客もスイスの銀行から手をひくのではないかと懸念しているのだ。

このコンテンツは 2009/07/27 15:25

スイスの経済界は経済協力開発機構 ( OECD ) が提案する基準に適合するように強いられている。今回はアメリカに対してだけ行われた顧客情報公開だが、そのほかの産業国 (OECDおよびEU加盟国 ) と新たな租税協定が結ばれれば、各国間の顧客情報交換の相互協力が拡大されていくだろう。

スイスの銀行の対応

しかしながら、プライベートバンクが懸念していることは情報公開が拡大していくことではなく、あまりにも執拗なアメリカからの攻撃によって予想より遥かに多くの資本がスイスから流出してしまうことだ。

メディアの報道によると、アメリカ国税局に対して柔軟な態度をとる数々のスイスの銀行は、既にアメリカに住所を持つ顧客は預金の大小にかかわらず排除し始めたようだ。ドイツ語圏の日刊紙ターゲスアンツァイガー ( Tages –Anzeiger ) によると、ミグロ銀行やチューリヒ州立銀行( ZKB) はこうした顧客を門前払いしている。顧客の国籍がアメリカというのではなく、居住地がアメリカということが理由だ。

地域に関係のある顧客

オフショア ( 海外 ) に口座を持ち、アメリカに居住するアメリカ人は、自国の銀行に口座を持ち、アメリカに居住する外国人と同様にみなされるようになったため、ベルン州立銀行の対応も「アメリカに住所を所有する人とは顧客の関係を結ばないことに決定した」という。しかしながら、ベルンからアメリカへスイス国籍の住民が移住した際には、銀行はアメリカ人の顧客排除の件とは別の対応を考える。

「以前からの顧客との関係は新たに判断します。その際には、顧客がベルン州と何らかの関わりがあるかが大きく関係してきます。また、外国に住むベルン出身者が以前からオーバーランド地方に休暇用のアパートを所有していることと、オーバーランド地方に一度休暇に来たアメリカ人が口座を開設したこととは異なる問題であり、対処法も異なります」
とベルン州立銀行広報担当のハンスペーター・メルツ氏は説明する。

対応を決めかねる銀行

メルツ氏にとって、この様に率先してアメリカ国税局に対して ( 法的に ) 柔軟に従うスイスの銀行は、次にどのような行動を取ってよいか分からず途方に暮れているように見える。

「スイスの銀行は、口座預金にある財産にかかる税金が合法的に支払われた場合に限り、アメリカに居住する顧客へのサービスを続けるのか、脱税行為がなくともこれからは全くサービスを提供しないのか。適確仲介人 ( QI ) 制度を適用し、アメリカ国税局の代わりに源泉徴収をすることにより、すべての顧客の世話をしていくのか」これらの銀行は、米国に居住する顧客に将来的にどのように対処するべきか決めかねているようだ。

この適格仲介人( QI ) としてスイスの銀行は、アメリカ人以外の人が米有価証券を所有している場合、アメリカへ納める税金を略式的に差し引くことが許可されている。

「将来的にQI制度の取り決めがはっきりするまで、口座解約告知はせずに状況を見守ります。なぜなら、われわれは口座管理をしていく上で、QIの概念がはっきりと分からないからです。顧客への年間収支通知書を送付することが既に資産管理としてみなされるのか、それを米財務省に公開するのかもまだ分かりません」
とチューリヒ州立銀行 ( ZKB ) の広報担当のウルス・アッカーマン氏は語る。

これには当然、顧客がアメリカの税務署に資産の内容を既に公開していることが前提である。

アメリカ市民にも不当な扱い

スイスプライベートバンク協会 ( Vereinigung Schweizerischer Privatbankier ) によると、これら一連の出来事の結末は、外国に住むアメリカ人は、母国ではもう口座を開設できなくなってしまうことだ。なぜなら、アメリカで口座を開設するには、アメリカに常住していることを証明する住所登録が必要だからだ。

スイスの銀行もヨーロッパの銀行も、アメリカの顧客は手がかかるので受け入れたがらなくなった。フランス語圏の日刊紙ル・タン ( Le Temp) によると、アメリカの政治家たちは、ティモシー・ガイトナー財務長官に対し、アメリカ市民は脱税にまつわる論争のために海外では銀行のサービスを受けることが困難になっていると訴える。

「海外に居住するアメリカ人や、アメリカに居住するスイス人は、スイスの銀行が彼らにたいして口座解約を告知した場合どうしたらよいのでしょう」

「顧客が資産に対する税金を支払うことを条件にUBS銀行、クレディースイス ( Credit Suisse ) 、ピクテ ( Pictet ) 、またはスイスで認可を持つアメリカの銀行などで口座を開設することができます」
税務署に未通知の預金を持つ顧客は、今年、9月23日までに、巨額の罰金が課される前に自ら口座内容を明らかにする機会が与えられている。

自由な資本流通

スイスのプライベート銀行もまた、他の銀行と同様に、アメリカからの圧力が自由な資本流通を制限するものになるのではないかと懸念する。そうであるとすれば、規定の限度額を超える資産管理は大幅に縮小されるだけでなく、資本市場にもブレーキがかかる。

これまで、銀行の守秘義務がスイスへお金が流入する一因だと指摘される一方で、スイスのプライベート銀行は、顧客の安全の権利を理由として挙げていた。例えば、ロシアでは低率課税により資産にかかる税金がすべて同じ税率で申告することができる。それでも、予想のつかない国の情勢を理由に、しばしば多くの資本がスイスに送金された。

これからは資本市場の規制がどう適用されていくのか、またどの様にスイスの銀行に対する信頼が回復されるかは、スイス経済界にとって、まだ滞る情報開示の問題よりも大きな課題である。

アレクサンダー・キュンツレ、swissinfo.ch
(ドイツ語からの翻訳 白崎泰子 )

適格仲介人 ( Qualified Internmediary/QI )

適格仲介人 ( Qualified Internmediary/QI ) はアメリカの国税局が特別に許可を与えている外国金融機関のことである。
適格仲介人としての権利を得ることにより、( アメリカ側から見て ) 税金の支払い義務がない人に対して、米有価証券取引によるアメリカへの源泉徴収を比較的略式で行うことが可能になる。
アメリカの株や債権を投資のポートフォリオに組み入れている、スイスとヨーロッパの顧客を抱える数々のスイスの銀行もQIの資格を有する。
もともとQI制度は、アメリカ人以外の人 ( 非居住者外国人 ) が米有価証券を購入した際の軽減措置であった。
アメリカ政府が莫大な負債をかかえるようになってから、アメリカはこのQI制度を国内に居住する外国人に対する法律として解釈するようになった。つまり、アメリカの国税局はアメリカ以外の有価証券を所有し、アメリカで税金を支払う義務がある人 ( 国内居住者 ) に対しても介入するようになった。
この制度により、アメリカでいわゆる普通の休暇よりも長く滞在した人々もアメリカで税金を支払う義務が生じる可能性がでてきた。
プライベートバンクのヴェゲリン銀行 ( Wegelin & Co ) によると、この制度の適用にあたって、居住地で税金を支払うという法律が犯され、そのほかの法律とも矛盾が生じるようになる。

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プライベートバンク

銀行法によると、個人経営会社、共同もしくは合資会社の法律形式をとる銀行である。
「プライベートバンク」の概念は今や変化し、主な業務が資産管理、いわゆる顧客の資産管理業務を行う機関として解釈されている。これらのほとんどが株式会社である。
「プライベートバンク」はスイスの銀行制度において、最古の企業形式をとっている。スイスには14行あり、これらの銀行はすべて、スイスプライベートバンク協会に加盟している。

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