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マッジョーレ湖 – スイスで味わう南国気分

マドンナ・デル・サッソ教会(Santuario della Madonna del Sasso)からマッジョーレ湖を臨む

(swissinfo.ch)

ヨーロッパを南北に隔てているアルプス山脈。この高い山々を越えれば、アルプス以北に住む人びとが憧れる温暖な地域が待っている。私はアルプスの麓のドイツ語圏に住んでいるのだが、車で一時間も走ればこの別世界に行ける。大きなヤシの木、輝く湖水、燦々と降り注ぐ太陽。戸外のテラスでくつろぐ観光客。そしてイタリア語を話す朗らかな人びと。今日はごく一般のスイスのイメージとは少し違うイタリア語圏の風景の一つ、マッジョーレ湖畔の地域についてご紹介しよう。

 4000m近い山がいくつもそびえるアルプス山脈は言語圏の境界となっているだけでなく、天候の境界となる事も多い。私が住む地域からバスに乗ってアルプスを越える時も、ずっと雨が降っていたのにサン・ベルナルディーノ(San Bernardino)トンネルから出た途端に真っ青な青空が広がるということが何度もあった。春は北側よりも一ヶ月近く早く来るし、平均気温も高い。

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 ティチーノ(Ticino)州都であるベリンツォーナ(Bellinzona)から電車に乗って30分ほどで国際映画祭で有名なロカルノ(Locarno)に着く。ここから見渡せる美しい湖が、スイスで四番目に大きいマッジョーレ湖(Lago Maggiore)だ。といっても、この湖の沿岸の3分の2はイタリアの村や街で、スイスの領土は北沿岸だけ。

 このマッジョーレ湖沿いの地域は、スイスの中でもっとも標高が低く、海抜200mに達しない。冬でも比較的温暖で、以前私が冬の週末に訪れた時、一月だというのに20℃近くなり驚いた記憶がある。ロカルノの隣町アスコーナ(Ascona)の湖に面したカフェの外のテラスでゆっくりとカプチーノを飲んだ。もちろんその時の我が家は氷点下だったから、その気候の差に驚くと同時に、ヘルマン・ヘッセなどアルプス以北からやってきた多くのドイツ語圏の作家たちが文学にしたためたティチーノへの憧れを実感できたものだ。

(swissinfo.ch)

 同じイタリア語を話し、国境をはさんで隣り合っているとはいえ、ティチーノとイタリアには違いがある。イタリアからスイスに入ると、けばけばしい広告がほとんどなくなる。道路がでこぼこしている事もほとんどない。カフェに入ってみると人びとが朗らかで明るいのは同じでも、スイス人らしくきれい好きのようだ。テーブルの上やトイレの状態に明らかに差がある。電車でイタリアからスイスに入っても、突如として時間に正確になるのが面白い。

(swissinfo.ch)

 話をマッジョーレ湖にもどそう。夏期にはロカルノからスイス側のいくつかの町や村を経由して、イタリアへと向かう汽船がでている。もちろん急ぐ人はバスや車を使えばいいし、その方が経済的なのだが、爽やかな風を受けて湖上を進む船は、それ自体が心躍る体験だ。

 イタリア国境の手前に小さな島々が浮かんでいる。ブリッサーゴ諸島(Isole di Brissago)だ。そのひとつイゾラ・グランデ(Isola Grande)にはかつて個人所有であった屋敷の庭を植物園として開放している。当時の所有者夫人であったロシアの男爵夫人が世界中から集めた珍しい植物が、とても美しく咲き誇っている。現在はティチーノ州の所有なので、誰でも訪れる事が出来る。

 緯度でいえば札幌よりも北にあたるのに、温暖で陽光溢れるマッジョーレ湖にはこうした世界の植物を集めた美しい植物園がいくつもある。どれももとは個人の庭として設計されたものなので、イタリア的な大理石の彫刻や建物の見え隠れする実に美しい空間となっている。

 私が以前この島を訪れた時には、広い庭の一部で結婚披露パーティが開催されていた。かつてのヴィラを利用したレストランでは、どうやらこうしたパーティも受け付けているようだ。南国の花とエキゾティックな鳥の戯れ遊ぶ小さい楽園のような島で家族や友人たちに祝福されるカップルの幸せそうな笑顔が眼に焼き付いた。

ソリーヴァ江口葵

プロフィール:ソリーヴァ江口葵

東京都出身。2001年よりグラウビュンデン州ドムレシュク谷のシルス村に在住。夫と二人暮らしで、職業はプログラマー。趣味は旅行と音楽鑑賞。自然が好きで、静かな田舎の村暮らしを楽しんでいます。

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