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共和党反乱、ロサンゼルス火事、ディズニー…スイスのメディアが報じた米国のニュース

アナ・オラフ・クリストフ
映画「アナと雪の女王」のワンシーン AP Photo/Disney, File

スイスの主要メディアが12月10~16日に報じたアメリカ関連ニュースから①インディアナ州で共和党員が反旗②ロサンゼルス火災の損害6.2兆円に③ディズニーがオープンAIと提携、の3件を要約して紹介します。

スイスの複数の新聞によると、ドナルド・トランプ米大統領と共和党にとって、今週は早く忘れたい一週間となりました。ハリウッドのクリエイターたちも悲しみに浸っているかもしれません。半面、「アナと雪の女王」のようなディズニー映画のファンは、ウォルト・ディズニーが米オープンAIと提携し、AI動画のなかでお気に入りのキャラクターを好きなように動せるようになったことに大喜びしているかも……。

12月11日、インディアナポリスのインディアナ州上院会議場の前で、州議会再編成法案が否決されたことに抗議する人々。
12月11日、インディアナポリスのインディアナ州上院会議場の前で、州議会再編成法案が否決されたことに抗議する人々 Copyright 2025 The Associated Press. All Rights Reserved.

インディアナ州で共和党員が反旗

選挙での敗北、内部の反乱、散々な世論調査で米共和党は揺らいでいる――スイス・ドイツ語圏の大手紙NZZはこう伝えました。

ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は`1日、「インディアナ州で驚くべきことが起きた」と報じています。「共和党はドナルド・トランプ氏の願いを叶えなかった」

トランプ氏は共和党が議席を増やせるよう、同州選挙区の再編を望んでいました。テキサス州など他の州の共和党はこれに応じましたが、インディアナ州の一部共和党員は拒否したのです。トランプ氏が自身のSNSで怒り・脅迫に満ちた投稿を展開したにもかかわらず、とSRFは解説します。

「トランプ氏がもはや党を完全に掌握していないことを示す更なる証拠がある。下院でエプスタイン・ファイルの公開採決が強行された際、ホワイトハウスからの圧力にもかかわらず、共和党議員4人がこの計画の突破口を開いた。マージョリー・テイラー・グリーン氏は、忠実な支持者からトランプ氏の率直な批判者へと転落した」(SRF)

さらに、ニュージャージー州とバージニア州の知事選挙で民主党が圧勝しました。両選挙区は本来、共和党の安全地帯。またマイアミでは、ほぼ30年ぶりに民主党の市長が選出されました。

これについてSRFは「トランプ氏は例外的な政治現象であり、経験的に、早々に見限るべきではない。だが同氏の支持率は低く、特に経済政策に関して低い」と報じ、トランプ氏が既にレームダック(死に体)と見なす声もあると指摘しました。

NZZは13日の記事で、来年11月の中間選挙までまだ1年近くあるが、「ニュート・ギングリッチ氏のような共和党のベテランたちさえも警鐘を鳴らしている」と指摘しました。

「トランプ氏はアメリカの有権者に『黄金時代』を約束した。しかし、最近の調査によると、国民は依然としてその期待を全く感じていない。大統領の経済政策に満足しているのはわずか31%だ。3月には40%だった」

J・D・バンス副大統領は有権者に忍耐を求めています。トランプ氏の関税政策や減税が望ましい結果をもたらすには時間がかかる、という理由です。これについてNZZは、「共和党には中間選挙までに『黄金時代』の幕開けを確実にするための時間がほとんど残されていない」と反論しました。(出典:NZZ外部リンクSRF外部リンク/ドイツ語)

燃え盛る山火事と消防車
2025年1月22日、カリフォルニア州キャスティックで炎を監視する消防士たち Copyright 2018 The Associated Press. All Rights Reserved.

ロサンゼルス火災の損害6.2兆円に

1月にロサンゼルスを壊滅させた火事は保険会社に400億ドル(約6兆2000億円)の損害を与え、記録上最も高額な森林火災となりました。スイス・フランス語圏の日刊紙トリビューン・ド・ジュネーブは、暴風雨とハリケーンによる追加被害は総額500億ドルに達し、自然災害による世界の保険金請求額は2025年には1070億ドルに達すると伝えています。

同紙によると、ロサンゼルスの「高級住宅街」を襲った火災により、1万2000棟以上の住宅、建物、車両が破壊または損傷しました。

当時のスイスメディアは、すべてを失った人々に同情を示しつつも、アメリカ社会に対してはかなり批判的でした。例えば1月11日付のNZZは、「何世紀にもわたり、アメリカ人は自分の好きな場所に家を建ててきた。南カリフォルニアの大惨事の後、これはもう止めなければならない。あまりにも長い間、政府は住宅所有者を自らの愚かさから守ってきた」と書いています。

ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは1月9日の記事で、超富裕層が財産を守るために民間消防隊を雇い、一方で貧困層が全財産を失ったことに対する憤りを伝えました。「富裕層限定でサービスを提供する消防隊が増えている。このビジネスは物議を醸すため、ほとんど宣伝しない。しかし、富裕層の口コミだけで十分な顧客を獲得できる」。

ただしサービス利用者は注意が必要だといいます。2019年にマリブで発生した火災では、民間消防隊が指示通りに現場に来ず、「住民が自ら消火にあたった」そうです。

今月16日のトリビューン・ド・ジュネーブは、ロサンゼルスの惨劇はあったものの、自然災害による保険損害額は世界全体で1070億ドルと、前年比24%減ったと伝えました。推定110億ドルの人為的災害を加えると、2025年の保険会社の請求総額は1180億ドルとなり、前年より22%少ないみこみです。(出典:トリビューン・ド・ジュネーブ外部リンク/フランス語、NZZ外部リンクターゲス・アンツァイガー外部リンク/ドイツ語)

ナンヨウハギとカクレクマノミ
プロモーティング・ニモ Keystone

ディズニーがオープンAIと提携

米ウォルト・ディズニー社のAI投資は賢いマーケティングだが、映画産業の核心である「創造性」を危険にさらしている――NZZは16日の社説でこう指摘しました。

フランス語圏のスイス公共放送(RTS)は、「ディズニーはオープンAIに自社キャラクターの使用を許可し、AIを活用してサービスを拡大する」と伝えています。メディア大手ディズニーと、対話型AI「ChatGPT」を展開するオープンAIが、生成AIを用いた動画プラットフォーム「Sora(ソラ)」で、ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズなど200以上のキャラクターが使用される契約を締結しました。

その見返りとして、ディズニーはオープンAIの「主要顧客」になる、とRTSは報じています。オープンAIに10億ドルを投じ、同社のAIモデルを用いて「新しい製品、ツール、そして体験を生み出す」予定です。

NZZは、この動きを「ディズニーの古いコンテンツのリサイクルを極限まで推し進めた」と評しています。「アニメ映画『アナと雪の女王』のエルサがお子さんの誕生日にハッピーバースデーを歌ってあげる? あるいは、月曜日の朝にルーク・スカイウォーカーから同僚に励ましのメッセージを送る?」といったアイデアも出しています。

NZZによると、ディズニーはオープンAIに自社キャラクターの権利を付与した最初のハリウッドスタジオになりました。「これは映画・メディア業界における転換点だ。AI企業は長年にわたり、クリエイティブ業界のコンテンツを大規模言語モデル(LLM)に学習させてきた。ディズニー経営陣は、これを自社でも活用しない手はないと考えていたのかもしれない」

しかしNZZは、この投資は損害を最小限に抑える以上の意味を持つ、ビジネス上の計算だと指摘します。「現実的な観点から言えば、キャラクターのライセンス取得はマーケティング費用だ。ディズニーがデジタル世界で生き残りたいのであれば、コンテンツを人々に届けなければならない。ユーザーが自ら動画を作成し、配信できるようにすれば、これは特に容易になる」

記事は同時に、ディズニーはAIの活用によってコンテンツをさらに汎用化することには慎重であるべきだと警告します。「ディズニーの創造性だけでなく、キャラクターの背後にいるクリエイターたちの仕事も危険にさらされている。ディズニーはすでにSFシリーズをデジタル背景で撮影し、コンピューターを使って俳優の若返りを図っている。オープンAIとの提携は、将来的に自動化が拡大することを示唆している」

一方、ディズニーはAIへの進出がクリエイターにとって有害で​​はないことを強調している。「ディズニーの言うことが正しいことを願うばかりだ」とNZZは結論づけている。「ディズニーは、自社の成功の基盤となっている人々の力を奪うことのないよう注意すべきだ」(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語、RTS外部リンク/フランス語)

次回「スイスのメディアが報じた米国のニュース」日本語版は2026年1月8日(木)配信予定です。

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英語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子

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