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メスを使わずに解剖を行うスイス犯罪科学チーム

3次元で再構成された犯罪犠牲者の頭蓋骨 (Virtopsy)

スイスの犯罪科学分析チームは、メスを使わずにハイテクを使って検死のための解剖を行うプロジェクトを開始した。

その名もバートプシー。バーチャル(virtual)とオートプシー(検死、autopsy)を掛け合わせた造語だ。この言葉を生み出したのはベルン大学の頭脳集団。死後の画像診断で、3次元のバーチャル死体を再現する。

 ベルン大学によるこの画期的な検死方法は、X線を使ったCTスキャンとMRI(磁気共鳴映像)、そして3次元スキャン技術の3つの要素で構成される。この3つの要素からできる限りの情報を得て、死体を画像に再現する。

長所は限りなく

 通常の検死では、医師が死んだ人の身体にメスを入れて、何が原因で亡くなったのか死因を探る。ターリ教授によると、これはかなり執刀医師の主観が入るという。

 「バートプシーには人間の主観が入り込む隙はありません」とターリ教授は胸を張る。このため、病理医学者に公正中立な情報をそのまま渡せるのだ。しかもデジタルで情報を収集するので検死にかかる時間は30分足らずだ。

 便利な点はまだある。病理医学者は死因が謎に包まれた死体を前にして、長い間格闘する必要はない。情報はデジタル化されてコンピュータの中に入っているのだ。死体は丁寧に埋葬され、その後に時間をかけて検死を行えばいい。

 法廷でも、血のりのついた本物の死体の写真を見せられるより、デジタル画像の方が証人や陪審員、弁護士などにとっても都合が良い。

一枚、また一枚

 ターリ教授の同僚、エミン・アガーエフ氏が実際にバートプシーの現状を見せてくれた。画像に出てくるのは、3次元の身体だ。服や肌が一枚、一枚とはがされ、目的の場所に行き着くまで内臓など身体のあらゆる部分があらゆる角度で取り去られて行く。

 一つの弾丸が作った弾道に突き当たった。ハンマーでばらばらにされた頭蓋骨もバーチャルの世界では元の形を取り戻している。死因が白日の下にさらされたわけだ。通常の検死ではほとんど不可能だったことだ。

 アガーエフ氏によると、バートプシーの非常に重大な欠点は、内臓の色が分からないことだ。「内臓の色は、炎症を調べるのに不可欠なのです」

 しかし、ターリ教授は「研究が進めば、将来的にはこれも可能となるかもしれません」と語る。バートプシーはまだ生まれたばかりなのだ。

死んでなくても

 このバートプシーは数百年の歴史のある通常の検死に比べて決定的な長所がある。何しろ、生きている身体も対象にできるのだ。ターリ教授のチームが担当している5割は生きている身体だ。

 例えば、暴漢に靴で額を殴られた犠牲者が運ばれてきたことがある。顔には靴の跡が残っており、バートプシー・チームはこの靴の種類を特定することができた。また、自動車事故で身体に残ったタイヤの跡からも同じように車種を見つけ、当時の状況を理解する手助けとなった。

swissinfo、 ファイヤル・ミルツァ 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

キーワード

ベルン大学犯罪科学分析センター所長、ミヒャエル・ターリ教授の下には医師や画像技術の専門家など14人が働く。

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