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モントルー経済会議:途上国と電子商取引

グローバリゼーションは、途上国を置き去りにしている。が、インターネットは途上国が追い付くための救世主になるか?モントルーで開かれた経済会議で、途上国がe-コマースから得る利点について議論がかわされた。

グローバリゼーションは、途上国を置き去りにしている。が、インターネットは途上国が追い付くための救世主になるか?モントルーで開かれた経済会議で、途上国がe-コマースから得る利点について議論がかわされた。

モントルー経済会議は、スイス国立経済情勢事務局(SECO)と国際貿易センター(ITC)が共同で主宰、途上国21ヶ国からの企業および政府の代表者、国際機関、電子商取り引きに明るい先進国からの代表らが出席した。

ITCは、世界貿易機関(WTO)と国連貿易開発会議(UNCTAD)の技術支援機関で、途上国の輸出入政策の向上を支援しているが、電子商取引は、途上国の輸出業者にとって、グローバル市場への簡単で安価なアクセスを可能にすると主張する。「ハード、ソフト、そしてほとんどのアプリケーションは先進国からのものだ。が、途上国でも、多くの独創的なアプローチやアイデアが生まれている。」と、ITCの役員デニス・ベリゼル氏は言う。

テレコミュニケーション・ネットワークの不整備と識字率の低さが、途上国での電子商取引の妨げになるという見方がある。現在のところ、インターネット利用は都会に限られているが、それでも国中に利益をもたらすことは可能だ。「各個人を対象にすることは考えていない。が、すでにハイテクを利用しているグループを認識すれば、国中にインパクトを広げる事ができる。」とベルゼル氏は言う。

スイス政府は、途上国との貿易振興に意欲を燃やしている。SECOの経済アドバイザー、ハンス・ホフリガー氏は「情報技術(IT)は途上国とスイスの掛け橋になる。輸出入において大変重要だ。」と言う。情報技術は、極貧の人々に直ちに影響を及ぼすことはない。が、途上国の企業家と世界のリンクをつなげれば、途上国が世界市場で競い合う事ができる。「先ず、先進国市場で取り引きする事の意味を理解している人々を対象にする。ITは、極貧の人々にとって有効なトゥールではない。また、途上国のあらゆる問題を解決する手段ではない。多角的貿易システムへの途上国の統合を支援する手段であるに過ぎない。」とホフリガー氏は語る。

電子商取引は、仲介者を必要とせず、輸出入者が直接取り引きできるため、業務上のコストを大幅に削減できる。また、世界市場への参入だけでなく、消費者を直接ターゲットにすることも可能だ。すでに西アフリカの貿易業者は、インターネットで手工芸品を販売しており、観光客にのみ頼っていた頃より大きく売り上げを伸ばしている。また、世界銀行の調査で、エチオピア農村部でインターネット利用が拡大している事も明らかになった。あるエチオピア人は、米国のヤギをエチオピアに売るウェブサイトを持っていると、世銀の調査グループに語ったという。

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