スイス検察、テロ資金捜査の情報不足で米批判
スイスとイタリアの警察は先週、米当局が9月11日の米同時多発テロ実行犯を資金面で支援した疑惑があるとしたルガノの会社経営者を拘束、資産を凍結した。が、当の米当局が捜査に必要な証拠をスイスに渡さないと、スイス検察当局は批判している。
米当局は、オサマ・ビンラディン氏の武装組織アルカイダなど国際テロ組織へ資金を移動する地下銀行組織「ハラワ」の一つとしてアルタクア・ネットワークの存在を上げている。その米当局の要請を受け、ルガノ市警察は10月7日、金融機関ナダ・マネージメント(旧アルタクア・マネージメント)を経営するエジプト出身のユセフ・ムスタファ・ナダ氏とアリ・ガレブ・ヒマト氏の2人を事情聴取のため身柄を拘束、8日には連邦検察局が同社保有の全資産を凍結した。
が、米当局はアルタクアとテロとの直接の関連を示すものをスイス側に一切提供していないと、連邦検察局のクロード・ニカティ副総長はいう。検察当局がナダ社および経営者2人の家宅捜査で押収したアラビア語の物を含む書類からは、テロとの関連の証拠となる物は見つかっていない。米国が必要な情報を提供してくれなければ、捜査は難航するとニカティ検事はいう。「このままでは、我々が何に焦点をしぼって調査すればよいのか探るだけで2、3ヵ月余計な時間がかかってしまう。我々の調査は9月11日の同時多発テロに限定されたものだ。ナダ氏とヒマト氏の身柄は取り調べのために拘束しているが、このまま何も出てこなければ二人は釈放される。」とニカティ検事はいう。ナダ氏は14日、カタールのアルジャジーラ放送のインタビューに対し、自分はMuslim Brotherhoodのメンバーだが、オサマ・ビンラディン氏やアルカイダとは何の関わりもないと答えた。
ニカティ検事はまた、スイスと米国の捜査手順の違いが、双方の情報交換をさらに遅らせているという。スイス当局は、スイス法では署名付き書状の司法協力要請がなければ受け入れられないことを米側に繰返し忠告しなければならないという。ニカティ検事は捜査に必要な情報入手のため近日中にワシントンに赴くという。
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