ナビゲーション

ナビゲーションへ

グローバルメニュー

ヴァレーでの冬期休暇

サース・フェーでも見られた、昔ながらの木造の家屋。雪景色に映える。

(swissinfo.ch)

雪に覆われた山々が美しいヴァレー州(Valais, ドイツ語ではヴァリス/Wallis)にある数多のスキー場には、スイス国内だけでなく、ヨーロッパ各国から休暇を過ごす人達が押し寄せ、リピーターも多い。

 毎年滞在先は違うが、特にヴァレー州の小さな村々は、私達一家お気に入りの地域だ。質の良い雪が豊富で風光明媚なだけではなく、食べ物の美味しさ、そして人と人との垣根の低さがジュラと似通っているからかも知れない。実は、2011年の冬期休暇をどこで過ごすかは、ぎりぎりまで決まっていなかった。休暇一週間前に長女が新聞広告で貸しアパートを見つけてくれたお蔭で、家族水入らずでヴァレー州ヴェルコラン(Vercorin)で年末までの約一週間を過ごすことになった。

 これまで、貸しアパートは知人のつて又はインターネット検索で見つけていた。知人推薦の場所はある程度予備知識を持っていくし、「ハズレ」はないが、インターネット検索や新聞広告では情報が限られていて、詳細は行ってみてのお楽しみである。しかし、さすがはスイス? 管理が行き届いている。建物が古かったり部屋が多少狭かったりということは有り得るが、過ごしたくないと思うほど不備で不潔な部屋に当たったことは皆無である。

(swissinfo.ch)

 スキーをしない私は、夫と子供達がスキー場に行っている間、村を散策したり、雪道を散歩する。インターネットからもセールス電話からも遠ざかり、ゆっくり本を読んだり昼寝をしたりするのも滞在型休暇ならではの過ごし方である。

 今回滞在したヴェルコランのアパートは2DK、バストイレ付。成長した娘二人がいる四人家族には少し狭いが、小さなキッチンがついていて自炊もできるし、四人一緒に食卓を囲むことができる。スキー用品を置く部屋は地下にある。標高約1330m、人口500人ほどの小さな村でも、村の人口以上だと思われる滞在客を狙ってのレストラン・カフェが多いから、食べ物には困らない。決して物価は安くないが、スイスのスキー場はどこも同じだろう。

(swissinfo.ch)

 ヴェルコランへの行き方は、三通りある。まず、車で、シエール(Sierre)近くで高速を下り、シャレ(Chalais)という村を抜けて、ひたすら急勾配の山道を上る方法。二台の車がすれ違うことも困難な狭い道やヘアピンカーヴと岩盤をくり貫いた細いトンネルが幾つかあるので、運転にあまり自信がない人は、公共交通機関を利用すると良い。実際、帰宅の日は朝から猛吹雪。山道で除雪車とすれ違った時は、車ごと雪に埋もれてしまい、脱出に一苦労した。

 公共交通機関での行き方は二通りあり、一つは黄色い車体でお馴染みのポスト・バス。シエール駅前からヴェルコラン直通バスが出ているが、本数は多くない。もう一つは、同駅からもう少し数が多いシオン(Sion)行きポストバスに乗って途中のシャレ村のロープウエー駅で下り、小さなロープウエーに乗って一気に村まで上がる行き方だ。車では少なくとも15分かかるが、この乗り物ではたった7分で着く。接続時間がいい便に乗りたければ、スイス国鉄のインターネット時刻表であらかじめ調べておくといい。ただ、スキー用具など大荷物を抱えてのバス・ロープウエーの乗り継ぎは大変かも知れない。

(swissinfo.ch)

                                                                                                              自炊可能な貸しアパート暮らしといっても、せっかくのバカンス、食事作りから少しは解放されたい。それで、アパート内では最低限の支度をして、時々ビストロに食べに行く。ヴェルコラン村の中心に近い「ル・カヴォー・ド・フランシーヌ」(Le Caveau de Francine)というレストランでは、四種類のチーズフォンデュやラクレットが美味しい。私はラクレットを頼んだが、チーズやじゃがいもの美味しさと、付け合わせのピリ辛にんにくやマッシュルームが抜群に合い、つい何度もお代わりしてしまった。店の中は決して広くはないが、その分、座っているだけで店や人の温かみが直に伝わってくる。ラクレットを仕切っている男性は、店の名前にもなっているフランシーヌさんのご主人。大きな体だが、溶けたラクレットチーズを皿に載せて、間隔の狭いテーブルの間を巧みに動き回り、まめまめと給仕している。陽気な人で、手が空けば気さくに話しかけてくる。

 たった数日間の滞在で、すっかり気に入ってしまった小村、ヴェルコラン。昔ながらの古い木造の建物と親切で細やかな人々。近代化が進むスイスの中で、村全体がメルヘンの世界を残している。敢えて苦言を呈すると、車の乗り入れが自由で、道幅の狭い通りですら車道になっていることだ。美しかったはずの雪の絨毯は、黒く汚れてしまっている。それが唯一残念な点だ、と前述のビストロのご主人に言うと、「それは村人の間でも何度も話し合っている。しかし我々にはまだその(経済的)余裕がない。僕はこの村に住んでいるけれど、もし自家用車乗り入れが禁止されれば、どうやって物資を家や店に運んでいいか分からない。今は仕方がないんだ」ということだった。同じヴァレー州でも、国内有数のリゾート地であるツェルマットやサース・フェーは、ガソリン車は乗り入れ禁止、村には公共交通機関である電車や電気自動車で行く。環境を守るためには村の経済力、そして多額の投資が必要ということなのか。今後のヴァレー州、そしてヴェルコランに期待したい。

マルキ明子

プロフィール:マルキ明子

大阪生まれ。イギリス語学留学を経て1993年よりスイス・ジュラ州ポラントリュイ市に在住。スイス人の夫と二人の娘の、四人家族。ポラントリュイガイド協会所属。2003年以降、「ラ・ヴィ・アン・ローズ」など、ジュラを舞台にした小説三作を発表し、執筆活動を始める。趣味は読書、音楽鑑賞。

インフォボックス終わり


リンク

Neuer Inhalt

Horizontal Line


subscription form

この外部リンク先サイトのコンテンツは、当該リンク先サイトの管理者にあるため、アクセシビリティに対応していない可能性があります。

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。

swissinfo.ch

この外部リンク先サイトのコンテンツは、当該リンク先サイトの管理者にあるため、アクセシビリティに対応していない可能性があります。

×