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世界最大の時計宝飾展−バーゼルワールド

毎年開催される時計宝飾展バーゼルワールドは9万人の来場者を見込む。 Keystone

世界で最もスケールが大きいといわれる時計宝飾展「バーゼルワールド ( Baselworld ) 」が12日から開幕した。業界人や今後の時計のトレンドを知りたい人には欠かせないメッセだ。19日まで開催中。

昨年は絶好調の輸出成績を記録したスイス時計だが、それを支えているのが高級スイス時計。それらを代表する3つのグループが「スイス製 ( Swiss Made ) 」ラベルのさらに厳しい基準を求めており、時計業界内で論争が起こっている。

 今年も世界45カ国からの出展者が集まるが、スイスの時計ブランドは全体面積の46%、出展者の20%を占める。今年も高級時計ブランドが新作を発表し、ハリウッドのスターなどを会場に招待し話題を呼んでいる。

 時計業界関係者によると今後、流行の傾向は時計のメカニズムが透けて見えるモデルと複雑ムーブメントを使用する女性用腕時計だという。

絶好調のスイス製

 スイス時計業界は2006年には、これまでの最高記録を出した2005年比で10.9%上回り、総輸出額が137億フラン ( 約1兆3388億円 ) に達した。

 展示委員会のジャック・デュシェンヌ会長はこのスイス時計産業の業績について「この繁盛は高級時計メーカーによるところが大きい。輸出総額の80%を占めると言ってもいい」と語る。ちなみに、スイスの時計産業の95%が輸出に頼っている。

 スイス時計協会 ( FH ) のダニエル・パーシェ会長も今後の展望は明るいとみる。「スイスの時計業界の活力は素晴らしい。去年、登録されたパテント数だけをみても、その創造性が現れている」という。

スイス製ラベルの強化?

 デュシェンヌ会長は11日の記者会見で「Swiss Madeというラベルは消費者にとって決定的な意味があるので、このラベルを強化する必要を感じている 。我々の生品の質を維持し続け、競争力を保証する将来の強力な切り札です」と訴えた。

 SwissMadeラベルの規定を現行の「時計の部品の50%以上がスイスで作られたもの」から80%に上げるというスイス時計業界の提案は低・中価格ブランドにとっては手痛い。1000フラン ( 約9万7000円 ) 以下の時計のSwiss Madeラベルの維持は無理という業界人の声も上がっている。

 フランス語圏テレビTSRでルイ・エラン ( Louis Erard ) のアラン・スピレディ社長はインタビューで「スイスの多くの時計関連会社はコストを下げるためにアジアなどに移転しました。これをまた、スイスに戻すということは直ちにできることではない」と難色を示した。

ニセモノに注意

 スイス時計産業が直面している問題に「ニセモノ」がある。デュシェンヌ会長によると毎年、偽造品 の流通による損害は8億フラン ( 約782億円 ) に上るだろうとみられている。また、偽造技術も向上してきたという。「一見しただけでは偽造品 と分からないものも多く出回っており、専門家の目でしか確認できない」という。インターネットの発展がこの偽造品流通に拍車を掛けている。

 パーシェ会長によるとこれらの偽造品 は中東製のものが多いという。「スイス産業に打撃を与えるだけでなく、これら偽造品 は女性や子供を搾取する犯罪組織によるものです」と語る。

 「偽造品 を買う人はこれらの組織が税金や労働者の社会保障などを納めていないため、それらの国の発展にもつながらないということを知って欲しい」

swissinfo、ロバート・ブルークス 屋山明乃 ( ややま あけの ) 意訳

時計、宝飾品の国際見本市であるバーゼルワールドは4月12日から19日までバーゼル市で開催。

今年は世界45カ国、2100人にも上る出展者が参加し、9万人の来場者を見込んでいる。

- スイス時計総生産量の95%が輸出される。

- スイス時計産業は2006年には総輸出額が137億フラン ( 約1兆3388億円 ) に達し、最高記録だった2005年を10.9%も上回った。

- 世界の時計輸出国は1位がスイス、続いて香港、中国、ドイツに日本だ。

- スイス時計の主な輸出先はアジアが43%、ヨーロッパが34%に続きアメリカが21%だ。 ( 以上、2006年のFH統計より )

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