世界競争力調査でスイスが順位回復

IMDによるとスイスの世界競争力はかなりのダッシュを決めた. ロンザ

ローザンヌに本部を置く調査研究機関、国際経営開発研究所(IMD)が毎年恒例の世界競争力ランキングを発表した。60の対象国・地域の中で、スイスは前回の14位から8位に大きく順位を上げた。トップは米国で、日本は21位だった。

このコンテンツは 2005/05/11 16:03

IMDの世界競争力年鑑2005年版によると、スイスは国際市場で素晴らしい経済パフォーマンスを遂げた一方、国内市場ではふるわなかった。

この調査結果は、各国の政治経済状況や効率性、グローバル性などを総合してランキングをはじきだした。世界の経営者が投資先を決める際のビジネスチャンスやビジネスリスクを考える参考となっている。今年の上位国は�@米国(昨年と変わらず)、�A香港、�Bシンガポール、�Cアイスランド、�Dカナダ、などだった。

「スイスの大企業の経営状況を分析すると、今年は素晴らしい結果でした。リストラの結果が今になってやっと出てきたといえるでしょう。米ドルに対するスイスフランは、少々強かったのですが、それでも輸出に直接関係のある中小企業も非常に好調でした」とシュテファン・ガレリ教授はスイスインフォのインタビューに答える(同研究所は国際的なビジネススクールも擁しており、同教授はこの調査の編集責任者である)。

対外投資の増加

世界競争力年鑑(2005年版)によると、スイスから外国への対外投資は毎年増加傾向にある。「スイスの2004年1年間の対外投資は280億スイスフラン(2兆4,578億円)となり、これはGDP(国内総生産)比にすると世界でも第4位です。対外資産の累積総額は約5,100億フラン(約44兆円)で、これは大体日本の累積総額と同じくらいの大きさなのですよ!」とガレリ教授は語る。

過去1年でスイスに起きた目立った変化として、同年鑑は「外国投資家にとって、新たに魅力が加わったことである」と分析している。2004年、スイスは140億フラン以上(約1兆2,290億円)の外国投資を誘致した。後続にはロシアやスペインが控える。

一方で、外国からスイスへの外国投資も増えている。「2003年に入ると、外国投資の増加傾向が見え始めました。これはスイスが国際市場で自分をより上手に売り込むことができた事を示しています」とガレリ教授は説明する。「これはまた、“人件費などのコストが低い“という理由だけが、国際投資家にとって投資先を決める最大ポイントではなくなったということも表しています。投資家は、安全な場所でビジネスができる環境や意欲ある熟練労働者などを新しい判断基準として重きを置き始めました」

さらなる改革が必要

しかし国内経済は停滞から抜け切れておらず、GDP成長率は前年比1.9%増にとどまった。これについて同年鑑は「更なる改革が必要」としている。民間消費は前年比1%増である一方、連邦および地方政府の緊縮財政の結果、政府支出は凍結されている。

「投資は前年比2.26%増となりましたが、このぐらいでは増え続ける社会福祉支出をまかなえるような経済レベルにはとても追いつきません。とにかく、まずスイス政府がするべきことは、ビジネスの効率化のために、官僚主義を考え直すことです」とガレリ教授は話す。

例えば、煩雑でわかりにくい法律が毎年大量生産され、これが円滑なビジネスの妨げとなっている。「議会はこれ以上法律を量産するのをやめるべきです。現在ある法律を簡素化するほうが先です。法律簡素化を監督する常設委員会を作るのも良いかもしれません」

また、国内産業が振るわない理由には、企業が国内で「長く苦しく、お金もかかる改革」に挑むより、手っ取り早い利益を求めて海外に出てしまうことも背景にある。ガレリ教授は警告する。「企業が国内から海外に拠点を移す傾向が続けば、雇用が失われるだけでなく、国内経済の改革も難しくなります」

多くの政治家やビジネスリーダーたちは、減税が経済改善の唯一の道だと唄っているが、IMDはこの主張をしりぞけている。法人税と競争力の間に、ある程度は関係があるにせよ、「スイスの高い税率が経済活動に影響すると言われていますが、競争力に関して言えばこれは主な理由ではありません」とガレリ教授は述べている。

ガレリ教授によれば、一般的に競争力の真の原動力になっている分野は、昔も今も科学、技術、マネージメント、金融、ビジネス環境、価格効果性(価格や為替の上下が経済に及ぼす影響)、教育、などである。

ガレリ教授は結論づける。「私たちは技術力向上に本腰を入れなければいけません。そして、価格の効果性だけを取っていえば、今のスイスに勝ち目はまったくありませんね」


swissinfo ロバート・ブルックス、 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

キーワード

‐IMD世界競争力ランキングトップ10

�@ 米国
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�I ルクセンブルク

‐「米国は世界競争力でトップのはずだが、ドル安が続いているのは不思議な現象だ」世界競争力年鑑(2005年版)より抜粋

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