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増えるインド人観光客

近年、インドからスイスに来る観光客が急増している。7人のインド人観光客が死亡した26日の観光ヘリ墜落事故で、スイス旅行が不人気にならないだろうか?

近年、インドからスイスに来る観光客が急増している。7人のインド人観光客が死亡した26日の観光ヘリ墜落事故で、スイス旅行が不人気にならないだろうか?

ここ5年間、スイスに来るインド人観光客は、毎年平均15〜20%ずつ増加している。増加傾向は年々加速気味で、1998年には前年比25%増、1999年は前年比30%増を記録した。

スイス政府観光局新興市場部のペーター・ウェルチさんは、今回の事故がインド人観光客減少の原因になることはないだろうと分析する。「インド人観光客のスイス旅行のピークは、通常4月から7月だ。今年のピ−ク時はもう過ぎている。おそらく来春までは、キャンセルがいくつか出るだろう。が、しばらく時が経過すれば、人々は忘れるものだから、来年のピーク時に与える影響は少ないだろう。」と楽観視している。

スイス観光市場としては、インド人観光客は大歓迎だ。1998年、米国、イタリア、英国などからの観光客は、減少傾向にあり、インド人観光客の増加は、スイス観光業界の「希望の星」だ。

が、絶対数としては、まだ低いという。ウェルチさんによると、今年のインドからの観光客数は70人から8万人で、総計170、000夜をスイスのホテルで宿泊した計算になるだろうと見積もる。これに対し、昨年、日本人観光客は70万夜宿泊し、米国人観光客は150万人、ドイツ人観光客は700万人、スイスを訪れた。

それでも、10億人を超すインドの人口と、増加するミドルクラスを考えれば、経済的にヨーロッパ旅行が可能なインド人は、全スイス人口よりも多いと、スイス政府観光局はいう。

インドでスイス・ブームに火をつけたのは、インド映画だ。インド人は無類の映画好きで、スイスを舞台にしたラブストーリーが多く作られ始めたのが、5年ほど前からだ。その頃から、スイスに来るインド人観光客が、毎年2桁ずつ増え始めた。
最初は、富豪層だけだったが、400ドルから500ドルの団体旅行が組まれるようになってから、ミドルクラスも来るようになった。

インド人観光客の特徴は、金遣いの良いことだ。1日1人当たり300スイスフランは使う。そして、最初のスイス旅行で皆行くのは、ベルナー・オーバーラントとレマン湖だ。特にアルプスで雪に触るのが、インド人の夢だという。

が、大きなカルチャーショックもあった。インドからの観光客が増え始めた頃、彼等はどこででも、値切ろうとした。ユングフラウへの登山鉄道のチケットも値切った。窓口でいつまでもねばり、他の観光客に迷惑をかけた。「これは、文化の問題だ。スイスでは値切らないということを学んでもらわねば。」と、登山鉄道の窓口の職員は語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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