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最も地球にやさしい会社はネスレ

食品大手のネスレは「リスクとチャンス」の分野で特に優れたパフォーマンスを見せた Keystone

環境対策に関してスイスで最も透明度が高い企業は、食品大手の「ネスレ」だ。

気候に有害な温室効果ガスの排出量縮小対策について、スイスの企業を対象に調査した結果が11月9日に発表された。

CO2排出量削減に向けた具体的な目標

 ネスレ ( Nestlé ) の後には、スイス最大手銀行「UBS」、ベルン州立銀行「Berner Kantonalbank」」、再保険会社「スイス・リー ( Swiss Re ) 」、衛生設備メーカー「ゲベリット ( Geberit ) 」が続く。

 スイスの主要企業の多数は、自社の環境保護対策に関する情報公開に協力的な姿勢を見せた。投資機関「エトス基金 ( Ethos ) 」および「ライフアイゼン銀行 ( Raiffeisenbank ) 」が実施したアンケート調査には、株式上場企業上位100社のうち58%が回答した。この調査は今回で4回目だ。

 エトス基金の経営責任者であるドミニク・ビーダーマン氏は記者会見の場で
「回答企業の6割が気候の健全化に寄与する活動情報の公開に同意した。二酸化炭素 ( CO2 ) 排出量を削減するために具体的な目標を立てている企業も39%に上った」
 と述べた。

少ない「野心」

 一方で、「野心的な」削減目標を立てている企業はわずか11社に過ぎないことも明らかになった。その11社は、ネスレ、化学・製薬企業の「クラリアント ( Clariant ) 」や「エムス・ケミー ( Ems-Chemie ) 」、「ロンザ ( Lonza ) 」、「ノバルティス ( Novartis ) 」、重工業の「ABB」、ゲベリット、「ホルシム ( Holcim ) 」、製品検査の「SGS」、チューリヒ国際空港、テレコム企業の「スイスコム ( Swisscom ) 」だ。

 また、回答企業の報告内容にも大きな差が認められた。
「工業関連企業は特に排出量に直接かかわる対策を取るとともに、下請け会社、販売網、消費者を含む『バリューチェーン』全体で有害物質を削減するための活動を行っている」
 とビーダーマン氏。

 逆に、金融関連企業は社内エコに重点を置いている。
「銀行であれば、お金を貸し出す。その際に、環境保護に関する基準は守られているだろうか」という問いに対する回答はあまり寄せられなかったという。

 アンケート調査に回答しなかった大企業もいくつかあった。保険会社「バロワーズ ( Baloise ) 」、工業関連の「スウォッチ ( Swatch ) 」、「OCエリコン ( OC Oerlikon ) 」、「マイヤー・ブルガー ( Meyer Burger ) 」、「フォン・ロール ( Von Roll ) 」、建設会社の「インプレニア ( Implenia ) 」などがそうだ。だが場合によっては、これらの企業と話し合いの場を持つこともあるとビーダーマン氏は言う。

 エトス基金とライフアイゼン銀行は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト ( Carbon Disclosure Projects/CDP ) 」の一環でこの調査を実施した。同プロジェクトは環境問題に関心を寄せる世界のおよそ530の機関投資家によるもので、大企業の気候変動に関する活動を調査している。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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