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スイス起因の環境負荷、地球持続レベルの3倍

象牙海岸のカカオ農場
スイスはカカオ豆などの原材料を輸入に大きく依存しているため、環境フットプリントが比較的高くなる Keystone

スイスの生産・消費活動が環境にどれだけの負荷を与えているかを示す「環境フットプリント」は、過去20年で大きく改善したものの、地球が持続できるレベルの3倍以上も高いことが分かった。

 スイス連邦環境省が10日発表した報告書によると、スイスの人口1人当たりの環境フットプリントは過去20年で19%減った。

 技術や新規制によってスイス国内の負荷量は減ったが、海外で発生するフットプリントは急増。報告書によると、2015年のスイスのフットプリントの4分の3は国外で生じた。

 スイスの内需が大きいことや、国外の原材料や資源への依存度が高いことが背景にある。

 環境省のカリン・ジークヴァルト副長官は「スイスは内需が比較的大きいため、1人当たりの環境負荷が不均衡に高くなる国の一つ。スイスの負荷は地球が持続可能な量の3倍を超えている」と述べた。

 今回の調査は、1996~2015年の生産・消費による温室効果ガスの排出や生物多様性への負荷、水の使用量などを調べた。

内訳

住宅地や交通、食料分野での生産・消費が与える影響が最も大きいことが分かった。調査期間中、スイスが動植物に与える負荷は14%上昇。輸入品の消費が主な原因だ。

 動植物への負荷を示す「生物多様性フットプリント」が、地球の持続可能な水準を上回っていることを示す。

 消費活動による15年の温室効果ガス排出量は1人当たり約14トン(二酸化炭素換算)。欧州平均より多く、世界平均の0.6トンを大幅に上回った。1人当たり排出量は過去20年で減ったが、人口が増えたために国全体の排出量は12%増えた。

改善すべき分野

 報告書は改善すべき分野として、消費者行動とサプライチェーン(流通網)を挙げる。交通や飲食料、住居にも改善余地がある。政府の「エネルギー戦略2050」では建物のエネルギー効率を高め、化石燃料を風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーに置き換えることを目標にし、環境フットプリントの削減に役立ちそうだ。

 エコカーを選んだりなるべく航空旅客を避けたりするなど、消費者の行動変化も必要だと指摘した。動物性製品を使わず、食品廃棄物の削減に取り組むことも挙げた。

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