The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に

花粉症の子ども
KEYSTONE/© KEYSTONE / GAETAN BALLY

気候変動の影響で、スイスで花粉症患者が増加している。有症率は2割で、経済損失は最大で年間6900億円に上る。

スイス自然科学アカデミー(SCNAT)の14日の発表外部リンクによると、気候変動により多くの植物の花粉放出時期が早まり、飛散量が多くなった。ブタクサなどの繁殖力が強くアレルギー性の高い植物も、気候変動で増殖している。

大気汚染も花粉症の蔓延に加担した可能性がある。SCNATによると、空気の質が悪いことにストレスを受けた植物は、より強いアレルギー反応を引き起こす花粉を生成する。大気汚染が人間の気道を損傷し、喘息や花粉症にかかりやすくなる面もある。

SCNATの調査では、1926年には花粉症を抱える人はスイス人口の0.8%だったと推定される。現在は約20%に増えた。花粉症患者は世界的に増加している。

患者の生活の質だけでなく、経済的にも影響が大きい。「スイスでは、年間10億~40億フラン(約1720億~6900億円)に上ると推定される」(SCNAT)。投薬・通院にかかる直接的な費用と、生産性の低下や仕事・学校を休むことによる間接的な費用の両方が含まれる。

研究にはスイス大気化学物理委員会や連邦気象台(メテオ・スイス)も参画した。

SCNATは気候変動や大気汚染の緩和や外来種の駆逐、地域社会での適切な植栽、警報システムなど、さまざまな花粉症対策を提案した。

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部