ウーリ州にある草地。スイスの一部地域では花粉症が猛威を振るっている
© Keystone / Gaetan Bally
国内の一部地域で花粉の飛散量が過去最高を記録する中、花粉症などのアレルギー治療のため病院にかかるケースも増えているという。
このコンテンツが公開されたのは、
仏語圏のスイス公共放送ラジオ(RTS)が5日報じたところによると、温暖で乾燥し、やや風が強い天候が続いていることが花粉の飛散量が多い主な理由だ。
スイス気象台(メテオ・スイス)の専門家は「今はちょうど(花粉症の原因となる)草が茂る季節の真っただ中にいる。6月がピークだ」とRTSに語った。「この時期に晴れて乾燥した天候が重なると、花粉の拡散が増える」
仏語圏の日刊紙トリビューン・ド・ジュネーブは3日、ジュネーブ大学病院における関連アレルギーの診察件数が、2022年に比べ20~30%多いと報じた。
一方、ローザンヌ大学病院のヤニク・ミュラー氏はRTSに対し、この数字は診察件数の急増を否定するものではないが、結論を出すには具体性に欠ける、と述べた。
同氏は「私が知る限り、スイスでこの件に関する研究が最後に行われたのは20年以上前だ。花粉症の患者が増えていることを裏付ける数字はないと思う。これらはあくまで印象であり、詳細な調査が必要だ」とした。
スイスアレルギーセンターによると、国内では5人に1人が花粉症を持つとされる(100年前は100人に1人)。
長引く花粉の飛散
原因は様々だ。チューリヒ大学病院のペーター・シュミット氏は5日、イタリア語圏のスイス公共放送ラジオ(RSI)に対し、花粉の飛散時期が長引いていると指摘。その期間はクリスマスから10月までだと言い、「現在のチューリヒがそうだが、雨不足により花粉飛散濃度も高くなっている」とした。
同氏はまた、スモッグや高温、人間の衛生状態の改善により、よりアレルギーを引き起こしやすくなっていると指摘した。
英語からの翻訳・宇田薫
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
おすすめの記事
スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。
もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
おすすめの記事
スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
このコンテンツが公開されたのは、
パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。
もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
おすすめの記事
スイスで放射能測定の合同演習
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。
もっと読む スイスで放射能測定の合同演習
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
このコンテンツが公開されたのは、
自殺カプセル「サルコ」を運営する自殺ほう助団体「ラストリゾート」共同設立者のフロリアン・ウィレ氏(47)が、先月5日にドイツで死去していたことが分かった。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
おすすめの記事
スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部レッチェンタール(ヴァレー州)で28日午後、大きな氷河が崩壊し、大規模な土砂崩れがふもとのブラッテン村を襲った。多数の家屋が倒壊し、1人が行方不明。
もっと読む スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
続きを読む
おすすめの記事
スイスで花粉症が増加中のワケ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスではこの100年間で、アレルギー患者が劇的に増加している。原因は様々だ。空気がきれいでアレルギーとは無縁だったはずのスイスアルプスでさえも、今や花粉症の脅威が迫っている。
もっと読む スイスで花粉症が増加中のワケ
おすすめの記事
スイス、世界初のリアルタイム花粉計測システムを導入へ
このコンテンツが公開されたのは、
国立スイス気象台(メテオ・スイス)は2023年、世界で初めて全自動の花粉モニターシステムを導入する。花粉症に悩む人はより信頼性が高い花粉情報をリアルタイムで得ることができるようになる。
もっと読む スイス、世界初のリアルタイム花粉計測システムを導入へ
おすすめの記事
春がうっとうしくなる理由
このコンテンツが公開されたのは、
3月20日の「全国アレルギー・デー」に、花粉症の放置は喘息 ( ぜんそく ) へと悪化することもあり得ると訴えるためにアレルギーの専門家が集まった。 真剣な問題 鼻水、目のかゆみ、くしゃみ、喘鳴 ( ぜんめい ) など…
もっと読む 春がうっとうしくなる理由
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。