天才アインシュタインの相対性理論100年祭
世界を変えた天才物理学者、アルベルト・アインシュタインに関するもっとも大きい展示会が16日からスイスの首都、ベルンの歴史博物館で始まった。
相対性理論が発表されてから100年たった。アインシュタインがこの理論を思いついたベルンで彼の世界を考察してみる。
1905年、アインシュタインは宇宙の認識を覆す、革新的な研究論文を幾つも発表した。意外なことに、彼の最大の発見は実験室に篭って発見されたわけではなく、スイスの特許庁で事務員として勤めている時代になされた。
歴史博物館の展示はアインシュタインの研究だけではなく、歴史的な背景と共に彼の複雑な人生を辿る。
「なるべく、分かり易いように努力しました」と語るのは展示会の企画者、ペーター・イェツラー氏。「展示は様々な年齢の人にも楽しめ、訪問者は見たいだけ見られる、好きな時間だけいられる、ようになっています」
アンシュタインの日常
アインシュタインの生活が資料、手紙、新聞記事や写真から特許庁に勤めていた時の机といった日用品まで見られる。アインシュタインの波乱に富んだ結婚生活や子供たちに対する態度、ユダヤ人としての生い立ちなどにも焦点を当てている。
アインシュタインのスイスや世界との関係、彼の戦争や社会経済問題に対する考え方も窺い知ることができる。
展示のハイライトは博物館のタワールームから見られる“眺め”だ。アインシュタインが住んだ1902年から1909年当時のベルンがスクリーンで見られる。
もっと詳しく知りたい人には、120本のドキュメンタリーが用意されている。これらはアインシュタインの人生や発見を第一次世界大戦からイスラエル建国まで、歴史的な観点から考察している。
宇宙を理解する
展示の第2部はアインシュタインの研究にささげられている。コンピューターアニメーションで相対性理論など彼が発見した理論がどのように、我々の宇宙への理解を変えたかを説明する。
前出のイェツラー氏は「物理が苦手な人でも分かるようにできている。現に私の小学5年生の娘も理解しました」と太鼓判を押してくれた。
これに加えて、アインシュタインが登場する「奇跡の1905年」以前の物理の発見についても歴史的に辿ることができる。
自転車でバーチャルツアー
今回の展示で最も強い印象を与えるのは、なんといってもバーチャルツアーだ。来館者はトレーニング用の自転車に乗り、自分で漕ぐ。アインシュタインのベルンの家から特許庁へ行くまでの道程をモデルに、映像で光の速さが如何に全体像を変えるかを体験できる。
イェツラー氏が「現在存在するバーチャルリアリティーの中で最高のもの」と誇るこの技術は、ドイツのトゥビンゲン大学とチューリヒの連邦工科大学が共同でデザインした。
720万フラン(約6億円)という予算の展示会はスイスでも最も高額な文化行事でアインシュタインについても世界最大規模の展示会となった。博物館は国内、国外から15万人の来訪者を予想している。
swissinfo アンドレアス・カイザー、 屋山明乃(ややまあけの)意訳
– アルベルト・アインシュタイン(1879年〜1955年)の相対性理論発表100年を記念してベルン歴史博物館で16日から大展示会が始まった。展示会は2006年、4月17日まで。
– 予算は720万フラン(約6億円)とスイスで最も高額の展示会になった。
– 世界でも最も大きいアインシュタイン展となった。
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