ETH、月の起源「ジャイアント・インパクト説」を裏付け
連邦工科大学(ETH)チューリッヒの研究チームによると、米アポロ計画で月から持ち帰られた石のサンプルを分析した結果、月と地球の酸素はタイプは違うが濃度は同じであることが分かり、月の起源の「ジャイアント・インパクト説」を裏付けた。
月の起源については、はっきりと分かっていない。一緒に誕生したとする兄弟説、他の場所で別々に生成され地球の重力に捉えられたとする捕獲説、約45億年前の誕生後間もない原始地球に火星サイズの原始惑星が衝突し宇宙に噴出された地球の岩石が地球の軌道に乗り重力的に集結して形成されたとするジャイアント・インパクト説が考えられている。ETHのアレックス・ハリダイ教授によると、月の化学成分と地球の化学成分に違いがあるため、月と地球は太陽系星雲中の異なる物質で生成されたのか、それとも起源に関連があるのか明白でなかった。が、地球と月の石に含まれる酸素性同位体構造が全く同一であることが判明した事で、ジャイアント・インパクト説を裏付けた。
地球と月の石の酸素性同位体構造が同じで、火星など他の太陽からほぼ同距離にある惑星の石のものが違うことも、大きな謎の一つだ。ハリダイ教授によると、原始地球と衝突した天体は、太陽からほとんど同じ距離にあるため、ほぼ構成要素は等質だったと考えられるという。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。