スイスの視点を10言語で

絶滅危惧の鳥類 スイスのレッドリストは世界の3倍

鳥
スイス国内でタゲリを見かけることは少なくなった KEYSTONE/DPA/Patrick Pleul

国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」は23日、鳥類の絶滅危惧種に関する統計を発表した。世界では8種に1種が絶滅危惧種であるのに対し、スイスでは絶滅危惧種の割合が他国に比べて3倍も高いことが分かった。

 世界で確認されている鳥類1万1122種のうち、156種はすでに絶滅。5種は野生では絶滅し、人の飼育下で個体数を維持している。

 国際自然保護連合(IUCN、本部スイス)の「レッドリスト外部リンク(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)」に掲載されたのは鳥類全体の13%を占める1469種で、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧IA類(CR)」に222種、IA類ほどではないが近い将来における野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類(EN)」に461種、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に786種が入った。このほか、生息条件の変化によって絶滅危惧に移行する可能性がある「準絶滅危惧(NT)」には1017種が入った。

 報告書によると、レッドリストに挙がった種のほとんどは農地開発と工業化の影響を受けていた。林業、外来生物、狩猟や密漁、気候変動も絶滅リスクが高まる脅威だという。

 スイスの種の保全状況は比較的悪く、国内に生息する鳥類の39%がレッドリストに掲載された。これは世界の3倍にあたる。

 バードライフ・スイスの種の保全活動で責任者を務めるラファエル・アエ氏は声明外部リンクで「この統計でスイス国内における鳥類の保全環境が、他の多くの国より悪い状況であることが明らかになった」とし、特に農業分野に関連した対策を講じる必要があると特記した。

 レッドリストには、ヤマウズラやタゲリ、コキジバトなど、昔はスイスでよく見られた鳥類の名前もあった。


ニュース

ビクトリノックスのアーミーナイフ製造現場

おすすめの記事

ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。

もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
管制室

おすすめの記事

スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。

もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
裁判所のドア

おすすめの記事

「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。

もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
財布からお金を取り出す人

おすすめの記事

スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。

もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
対空防衛システム

おすすめの記事

米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

このコンテンツが公開されたのは、 米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。

もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部