スイス連邦行政裁判所は10日、スイスの銀行が持つ税務データを他の国に引き渡す際に、銀行の従業員、弁護士、会計士などの第三者個人の実名は明記されるべきではないとの判決を下した。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦財務省は昨年、税務情報とともに専門家の名前も外国当局に引き渡すよう決定。これに対してスイス情報保護委員会が行政裁に異議を申し立てた。行政裁は事務的な役割しか負っていない私人のプライバシーは尊重されるべきだとして、情報保護委員会の訴えを認めた。
銀行顧客の脱税を手助けしたともいえる弁護士らの名を明かすべきかどうかは、過去数年大きな議論を呼んでいる。財務省は、個人名もともに提供することは、情報交換制度の文言・精神を守るために不可欠だと主張している。また、名前を加工するために膨大な書類をくまなく精査するのは時間と費用がかかりすぎるだろうとも述べる。
行政裁はこれに対し、個人名の引き渡しは人権やスイスのデータ保護法に基づくプライバシーの権利を侵害すると言い渡した。
判決により、脱税容疑で捜査を受ける銀行の顧客と関係がある第三者の名前を匿名加工するか、該当者に事前の了承を得る必要が出てくる。このルールは、書類に誤って掲載されてしまった第三者についても適用される、と裁判所は明言した。
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
続きを読む
おすすめの記事
スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行は顧客の情報を国家権力にも明かさないことで知られ、世界中から資産を集めて金融国家にのし上がった。そのスイスが今、日本の経済界を揺るがした大スキャンダルの捜査協力に乗り出している。秘密主義の看板は10年前に下ろされたが、スイスの秘匿体質は本当に変わったのか?
もっと読む スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
おすすめの記事
イタリア、スイスに銀行顧客情報の開示を要請
このコンテンツが公開されたのは、
イタリアは脱税調査の一環で、スイス税務当局に対し、2015、16年時点におけるUBS銀行のすべてのイタリア人顧客情報を開示するよう要請した。
もっと読む イタリア、スイスに銀行顧客情報の開示を要請
おすすめの記事
スイス最高裁、仏当局へのUBS顧客データの移転を承認
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所は、スイスの銀行UBSの約4万人の顧客に関するデータをフランスの税務当局に引き渡すべきであるとの判決を下した。この決定は、顧客の情報を口外しない秘密主義を守ってきたスイスの銀行業界にとって大きな意味を持つ。
もっと読む スイス最高裁、仏当局へのUBS顧客データの移転を承認
おすすめの記事
巨大IT企業への課税、スイスに痛手か
このコンテンツが公開されたのは、
多国籍企業が税制上の抜け穴を利用した課税逃れを防止するため、国際的な課税ルールの抜本的な改革が急ピッチで進められている。6月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でも、巨大IT企業への「デジタル課税」ルールが焦点の一つになった。ただ、低税率で多国籍企業を誘致してきたスイスは、国際課税ルールの強化で大きな痛手を受ける可能性がある。
もっと読む 巨大IT企業への課税、スイスに痛手か
おすすめの記事
仏司法当局、UBSに約4千億円の罰金命令
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大銀行UBSが脱税と資金洗浄をほう助した疑惑をめぐり、フランスの裁判所は20日、同行に有罪判決を出し、37億ユーロ(約4千億円)の罰金を命じた。
もっと読む 仏司法当局、UBSに約4千億円の罰金命令
おすすめの記事
スイス連邦裁、脱税ほう助告発者は「銀行の秘密保持義務に違反せず」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦最高裁判所は先週、プライベートバンクのジュリアス・ベアの脱税関与を告発した元従業員のルドルフ・エルマー氏は、スイスの銀行に課される秘密保持義務に違反していないとの判決を下した。
もっと読む スイス連邦裁、脱税ほう助告発者は「銀行の秘密保持義務に違反せず」
おすすめの記事
スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)が、国際的な不正取引に関わったとして金融当局の勧告処分を受けた。ただ営業停止や罰金などの処分がなかったことに首をかしげる専門家もいる。
もっと読む スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。