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赤十字の思想

ルネ・リーノー氏は、多発する戦争や紛争の中で、人権が侵害されていることに心を痛める

(swissinfo.ch)

グアンタナモの収容者の受け入れ、ガザやスリランカの戦争や紛争など、スイス赤十字社が取り組む問題はおいそれと解決できないようなものばかり。

アンリ・デュナンの基本思想を世界各地で起こっている戦争や紛争の中で実践する難しさをスイス赤十字社のルネ・リーノー社長に語ってもらった。リーノー氏は急進民主党 ( FDP/PLD ) 出身の全州議会議員だったが、2001年からスイス赤十字社を率いる。

スイスインフォ :  戦争や紛争、災害が世界中で多発しています。スイス赤十字社はどのような基準で活動を決定するのでしょうか。

リーノー : 普通は、大きな災害で、われわれが資金や人員などを得られる場合に援助活動をします。われわれのパートナー機関である現地の赤十字社や半月社と協力できる場所です。

スイスインフォ :  スイス政府はアメリカ政府に対し、グアンタナモの収容者を何人か受け入れる用意があると表明しました。スイス赤十字社はこれに対しなんらかの援助をする用意がありますか。

リーノー : スイス赤十字社は何十年も前から、拷問を受けた被害者を受け入れる診療施設を運営してきました。スイス政府が受け入れを決定すれば、われわれとしてはそういった援助をする用意はあります。

スイスインフォ :  スリランカでは内乱が起こり、人権が踏みにじられています。スイス赤十字社はスリランカ関連でどのような活動をしていますか。

リーノー : 津波の後スリランカへ行き、再建の援助をしましたが、今でもそれがわれわれの主要活動です。赤十字国際委員会 ( ICRC ) とも協力して活動を行っていますが、その場合は、紛争が起こっている地域においてです。

スイスインフォ :  タミル人に対するスリランカ政府軍の行動が国際的な非難を引き起こし、外交問題まで発展しました。スイス政府もスリランカ政府を非難しています。スリランカでのスイス赤十字社の活動に何らかの影響がありましたか。

リーノー : いいえ。現地の人も政府も、われわれの再建活動を見ています。しかし、われわれの基本姿勢である中立の立場から援助を必要とする側に援助の手を差し伸べると、対立する側は、われわれが彼らの敵に援助をしていると思うものです。

スイスインフォ :  スイス赤十字社はスイスに住むタミル人のために、スリランカの家族を探すための協力をしていますが、具体的にはどのようなことをしているのでしょう。

リーノー : スイスに住むスリランカ人のために、現地に駐在するわれわれの派遣団を通してスリランカに住む彼らの家族を探す協力をしています。

スイスインフォ :  ガザ地区の再建にも関わっていますか。

リーノー : パレスチナの半月社と、医療面で長年協力しています。今回の戦争後も、赤十字国際委員会と共同でその協力は続いていますが、派遣団は送っていません。

スイスインフォ :  イスラエルが攻撃中、国際援助機関の物資援助トラックが足止めを食ったことについて、スイス赤十字社社長としてあなたはどのような思いでいましたか。

リーノー : 多くの無垢な人々が悲惨な目にあっていると思うとそれが非常に心配でした。ガザ地区でパレスチナ人がどのように苦しんでいるかということは私たちの想像を絶するものです。また、赤十字の思想が今でも無視されていることは残念です。文明国といわれる国でも戦争の被害者への援助が保証されていません。人権が危うい状態にあるということなど、こういった全てがわたしの脳裏にこびりつき、悲しい気持にさせられます。

スイスインフォ :  スイス赤十字社での仕事のほか、学校で紛争解決の授業を行っていらっしゃいますね。

リーノー : スイス赤十字社の州連盟が「チリ ( Chili ) 」というプログラムを用意しています。チリ、つまり唐辛子という意味ですが、対立は辛いものだからです。青少年に平和的な紛争の解決方法を学んでほしいと思っているからです。

「チリ」で多くの生徒たちが学んでいます。それは、生徒だけにとどまらず、先生にも及んでいます。

スイスインフォ :  多くのボランティアと仕事をなさっていますね。彼らは大きな可能性を持っているし、安い賃金で働いてくれるという長所がありますが、短所はありますか。

リーノー : 赤十字の思想はボランティア活動が中心となった思想です。赤十字創始者のアンリ・デュナンがそうでした。彼は、ソルフェリーノの戦場で、ボランティアと協力して負傷者を手当てしたのです。

世界的に見て、ボランティアがいない限りわれわれの活動は不可能です。ボランティアは、お金儲けは二の次で、強い意志があることが長所です。われわれの仕事は、ボランティア活動をいかに魅力あるものにするかです。現在のボランティア活動は、ほかの人に何か良いことをしようというだけでは不十分です。自分が満足し自分を認めてほしいからするという面もあります。よって、わたしたちのサポートも必要になってきます。彼らの教育は、学校で生徒にするように支援することでなければなりません。

スイスインフォ :  スイス赤十字社の多方面での活動を見ると、力が分散してしまうのではにかとも思われるのですが。

リーノー : そうですね。一部それは当たっています。しかし、スイス赤十字社は歴史と共に発展してきた組織です。それは、さまざまな協会がまとまり上部機関となって発展してきたスイスの元々の姿と同じようなものです。スイスという性格の中にわれわれも生きています。われわれの機関は現地で、現地の人々と共にあります。スイス赤十字社はこうした社会と密接な関係を持っているのです。

swissinfo、ジャン・ミシェル・ベルトゥ 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

スイス赤十字社

健康と融和、救助と緊急援助の2つを柱にして、主にスイス国内で活動している。
健康と融和では、赤十字州連盟がそれぞれの州で若者と高齢者の融和とサポートをしている。
救助と緊急援助では、ほかの救援団体と協力し、被害者の救援に当たっている。また、献血運動も行っている。

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