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スイスがフィンテックで生き残るには

スイスの銀行はフィンテックの潜在力を存分に活用できているのだろうか? Keystone

スイスが国を挙げてフィンテックで世界の主導権を握ろうとするなか、銀行・保険会社はこれまでの伝統を捨て、全く新しい考え方に頭を切り替えるべき時に来ている。スイス金融・技術協会のジョン・ハッカー会長の強い思いだ。

このコンテンツは 2018/02/12 08:30

スイスは近年、ブロックチェーン技術や仮想通貨関連のスタートアップ企業のためのグローバルハブへと向かう大きなうねりの中にある。実際に数多くのスタートアップ企業が雨後の筍のごとく生まれている。

だがハッカー会長に言わせれば、スイスは伝統的なウェルスマネジメントや保険業界が抜本的な変革を遂げない限り、ロンドンやシンガポール、ニューヨークに遅れを取ったままになる。

「何世代にもわたり、スイスは秘密主義に頼って繁栄してきた。銀行秘密を手放した今、金融業界は新たに生きる道を探さなければならない」。ハッカー会長はスイスインフォの取材にこう語った。「我々は現状と戦っている。リスクをとるカルチャーがないからだ」


「シンガポールでは、大手銀行がフィンテックの動きを先導している。スイスでも旧来の金融機関こそ、全てを作り変える才能を解き放つ可能性を秘めている。スイスの銀行には妙案があるが、効果的に取り扱われていないだけだ」(ハッカー会長)

ウェルスマネジメントの潜在力

それはハッカー会長だけの考えではない。ベンチャー投資企業「ポリテック・エコシステム・ベンチャーズ(Polytech Ecosystem Ventures)」のマネージング・パートナー、ギヨーム・デュブレイ氏は世界で戦えるウェルスマネジメントのフィンテック企業がスイスに現れないことを嘆く。

ポリテックは連邦工科大学ローザンヌ校に籍を置く企業で、米シリコンバレーにもオフィスがある。フィンテックやブロックチェーンなどのスタートアップ企業に幅広く投資し、芽を育てることに長けている。

デュブレイ氏は先日スイスで開かれたフィンテック関連イベントで、既存の大手行がウェルスマネジメントをデジタル化するのを支えるスタートアップ企業がいくつかあることを認めた。だが、顧客に直接フィンテックを使ったウェルスマネジメントを展開し、世界レベルでインパクトを与えるには至っていないと憂慮した。

スイスでは「トゥルー・ウェルス(TrueWealth)」などロボ・アドバイザーを手がけるスタートアップ企業が現れていはいるものの、英「ナツメグ(Nutmeg)」や「レボルート(Revolut)」のような世界的な影響力に欠くという。

「ウェルスマネジメントの世界において、スイスのフィンテックは大きく立ち遅れている。スイスの豊富なウェルスマネジメントのノウハウを活用して、ウェルス『フィンテック』のハブへと転じなければならない」(デュブレイ氏)

狙いは「5大ハブ」入り

スイスの金融機関とて、フィンテック革命を見逃すわけにはいかない。UBSとクレディ・スイスはブロックチェーンの決済システム「ユーティリティ・セトルメント・コイン」構想の中核メンバーだ。スイスの証券取引所や保険会社もブロックチェーン技術の応用を急ぐ。

ウエリ・マウラー金融相とヨハン・シュナイダー・アマン経済相は先日、スイスのフィンテック・タスクフォースを立ち上げると表明した。フィンテック企業のビジネスの自由度をさらに引き上げる規制見直しが進む可能性が高い。

それでもハッカー会長は、スイスの大手金融機関が業界のけん引役ではなく、ベルトコンベヤーに乗ってされるがままになっていると批判する。同氏によると、フィンテック業界を先導するのはロンドンやニューヨーク、シリコン・バレー、シンガポール、イスラエル。スイスは本気を出さない限り、球拾いに甘んじるばかりで先行者利益に預かれないと指摘する。

「2018年内にウェルスマネジメント、保険、ソーシャルファイナンス(社会的金融)分野で世界の5大ハブに仲間入りすることを目標に掲げている」(ハッカー会長)

5大ハブに名を連ねることは、単に名声を求めるためだけでない。スイスのデジタル化を推進すべく昨年設立された業界団体「デジタルスイス(digitalswitzerland)」のニコラス・ブラー常務は、デジタル化が生み出す職の数は失われる職を上回ると指摘する。ただそれにはスイスの金融企業が正しい戦略を取ることが必要だ。ブラー氏は「5大ハブ入りに成功しなければ、スイスの金融業界で大量の失業が発生するだろう」と警告する。

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