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スイスのメディアが報じた日本のニュース

左手を挙げる男性指揮者
世界の名だたるオーケストラで活躍し「世界のオザワ」と評された指揮者の小澤征爾さんは、後進の育成にも力を入れていました KEYSTONE

スイスの主要報道機関が2月6日〜12日に伝えた日本関連のニュースから、3件をピックアップ。要約して紹介します。

【スイスで報道されたトピック】

  • 分身ロボットで障がい者がリモートワークするカフェ(2/5)
  • TSMCが熊本に第2工場、トヨタも出資(2/6)
  • 「有松鳴海絞り」救う村瀬弘行さん(2/6)
  • 椎野カロリーナさん「ミス日本」を不倫で辞退(2/7)
  • 流氷にシャチ10頭閉じ込め(2/7)
  • 福島第一原発 汚染水浄化装置から水漏れ(2/8)
  • 日銀「どんどん利上げ考えにくい」(2/8)
  • 日本旅行がブーム(2/9)
  • 指揮者の小澤征爾さん死去(2/9)
  • 日本株式市場の「高揚感」に警鐘(2/12)

この中から今回は①日本株式市場の「高揚感」に警鐘②指揮者の小澤征爾さん死去③椎野カロリーナさん「ミス日本」を不倫で辞退、をご紹介します。

日本株式市場の「高揚感」に警鐘

日経平均株価は昨年、3割近く上昇しました。9日の取引時間中には一時、3万7千円台をつける場面もあり、史上最高値の更新も射程圏内に入ってきました。ドイツ語圏の日刊紙NZZは12日、勢いをつける日本株について「投資家はリスクを無視しており急激な調整が入る危険性が高まっている」とするオピニオン記事を配信しました。

記事によると、株価上昇につながる大きなきっかけを作ったのは、昨年日本を訪問した米国の有名投資家ウォーレン・バフェット氏と、世界最大の資産運用会社ブラックロックのトップであるラリー・フィンク氏です。「群れの動物」として知られる投資家たちは2人に追随し「時代に取り残された国」として見向きもしなかった日本を突然、絶賛し始めました。それはスイスの資産運用会社やドイツの投資ファンドも例外ではありません。

記事は続けて、日本市場がコロナ収束後に「目を見張るほどの」回復を見せたことに言及。日本のエンジニアや技術者の製造力を再認識する投資専門家らの声や、欧米諸国の中国離れ、台湾で戦争が起こる地政学的なリスクの可能性、強力なチップ産業、コーポレートガバナンス面での改善などが後押ししたとしました。

ただ、日本市場にはまだ多くの問題があるとし▽上場企業においてPBR(株価純資産倍率) 1倍割れの企業がいまだに約半数あること▽市場の重要な修正要因となる批判的なオブザーバー、つまり日本市場に詳しい専門家が不足していることなどを指摘しました。

また人口減少や20~30代の優秀な頭脳の不足、発明力の低下など日本のさまざまな構造的問題を挙げ、「日本の復活を絶賛する投資家は耳をふさぎたいだろうが、この強気相場は既に危険なほど進んでいる」と警鐘を鳴らしました。(出典:NZZ/独語外部リンク

「初」や「挑戦」がつきものだった人生

世界の名だたるオーケストラで活躍した指揮者の小澤征爾さんが6日、88歳で亡くなりました。NZZは9日、追悼記事を掲載。国際的なスターとなった初のアジア人指揮者で、その親しみやすく謙虚な人柄やリハーサルでの正確さ、作品への敬意や楽譜の深い読み込みに支えられた解釈が評価を高めてきたと伝えました。

また1960年代にはNHK交響楽団の楽団員と対立するなど、何事にも「初」や「挑戦」がつきものだった小澤さんの歩みや、これまでの実績を紹介。日本のサイトウ・キネン・オーケストラやスイスの小澤征爾国際室内楽アカデミー設立など、後進の指導にも情熱を傾けたと伝えました。(NZZ/独語外部リンク

「保守的な人たちはこれで安堵のため息がつける」

「第56回ミス日本コンテスト2024」でグランプリに輝いたウクライナ出身の椎野カロリーナさんが、既婚男性との不倫を認めグランプリを辞退したことについて、スイスでも複数紙が取り上げました。

オンラインニュースサイトwatsonフランス語版は7日、「ミス日本は不倫で全てを失った」との見出しでこの一件を報道。「特に日本ではタブー視される」スキャンダルによって、ウクライナ生まれのモデルが戴冠からわずか2週間で受賞を辞退したと伝えました。記事では漫画家の倉田真由美さんがX(旧ツイッター)に投稿した「ミス日本に選ばれたこの方、とても美しいと思う。(…)彼女の美しさは『日本的美しさ』とは違うものだ」といった発言なども、フランス語訳を交えて紹介。日本では「ハーフ」など純日本人ではない受賞者が登場するたび、外国人嫌悪のニュアンスを伴う議論に火がつくと説明しました。

大衆紙ブリックのドイツ語版は「日本の保守的な人たちは、ようやくこれで安堵のため息がつける」とチクリ。無料紙20min.のドイツ語版は記事中で「ミスコンテストに興味がありますか?」との読者アンケートを実施。6~12日までに回答した2695人中94%が「興味がない」と答えています。(出典:watson/仏語外部リンク、ブリック/独語外部リンク、20min./独語外部リンク

話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスで宗教の信仰離れが進む理由」(記事/日本語)でした。他に「なぜスイスではストライキがほとんど起こらない?」(記事/日本語)や「UNRWA資金めぐり様子見するスイス 勢力増す批判派」(記事/英語)も良く読まれました。

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は2月19日(月)に掲載する予定です。

校正:宇田薫

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