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カルト教団集団死事件でスイス人指揮者裁判

フリブール州の農場で集団死したメンバーの遺体を運ぶ警官。1994年10月5日 Keystone Archive

1994年10月スイス西部で、宗教団体ソーラー・テンプルの48人が集団死(殺人か自殺かは不明)する事件があった。ミシェル・タバクニク前ジュネーブ管弦楽団指揮者は95年仏グルノーブルで起きた同教団員16人の集団死に関与したとされ、17日フランスで裁判が行われる。ソーラー・テンプル集団死事件関連で裁判が行われるのは初めて。

仏当局の調査結果によると、グルノーブルで集団死した16人のうち14人はスイス人建築家と仏人警官のメンバー2人に射殺され、2人はその後自殺した。タバクニクがこの集団死事件で実際に果たした役割は明確ではないが、仏当局は団員に教義の普及と自殺願望を吹き込んだと告訴した。仏法により、タバニク氏に出廷の義務は無い。swissinfoの取材に対しタバニク氏は、「出廷するかどうかはまだ決めていない。最後の瞬間まで決心できない。ピラー判事が最初に私を証人喚問した時、起訴はしないと言った。それがなぜ再びこの問題が掘り起こされたのか。こんな不正な司法に屈する必要なない。私はスケープゴートにされているのだ。」と語った。タバニク氏の先妻クリスティンさんはグルノーブルで集団死した1人だった。集団死への関与に関する質問に対し同氏は「誓って何もしていない。私の子供達の母親を殺すなんて本気で思われているのだろうか。当時うちの子達が寝ていたアパートの部屋は、仕掛け爆弾で吹っ飛ぶところだった事も忘れないでほしい。私の無実を証明するような事実はいっさい表に出ない。450ページの検察報告書で私に関する報告は10ページだけだ。」。また、ソーラー・テンプルの団員だったのかという質問に対し、「公式にはメンバーではなかった。90年代初め、教団の活動に関わったことは事実だ。先妻のクリスティンが私をリーダーのジョセフ・ディ マンブロに紹介した。当時、ゴールデンウェイ・ファウンデーションが、終末思想教団として活動していた。集団死を引き起こしたのは終末思想に取り付かれてていたディ マンブロだ。彼は私の友人だったが、裏切った。わたしがなぜ起訴されなければならないのか、全く理解できない。ばるで中世スペインの異端審理の宗教裁判のようだ。」と語った。

終末思想を持つソーラー・テンプル教団は、死によって滅亡する地球から他の惑星へ移り垂ォ残るという教義のため、90年代半ば74人の教団員集団死を引き起こした。グルノーブルの他では1994年10月にスイスで48人(ヴァリス州Grans-sur-Salvanで25人、フリブール州Cheiryで23人)、カナダで5人が集団死した。スイスとカナダの当局は、教団創設者のジョセフ・ディ マンブロとルーク・ヨーレットがフリブール州での集団死で死亡したため捜査を取り止めた。

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