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滑降とノルディックでダブル金

金メダルを手にしてようやく実感がわいた?ノルディックのダリオ・コロニャ選手 ( 左 ) とアルペンのディディエ・デファゴ選手 Valeriano Di Domenico/EQ Images

2月15日、バンクーバーオリンピックでスイス勢が金メダルを二つ獲得した。アルペンスキー男子滑降でディディエ・デファゴ選手が、またノルディックスキー男子15キロメートル・フリーでダリオ・コロニャ選手が優勝を手中に収めた。

一方、今季好調のディディエ・キュシュ選手はトレーニングでもベストタイムを出していたが、本番ではゴール前でタイムを落として6位に終わった。
 

予想外の勝利

 デファゴ選手は昨季、スイスのヴェンゲン ( Wengen ) とオーストリアのキッツビュール ( Kitzbühel ) のワールドカップの滑降で2度優勝している。そのため、まったくの予想外というわけではないが、キュシュ選手の陰に隠れ、優勝候補としてはほとんど名前が挙がっていなかった。滑降でのオリンピック優勝は、札幌 ( 1972年 ) のベルンハルト・ルッシ選手、カルガリー ( 1988年 ) のピルミン・ツルブリッゲン選手に続いてこれが3度目。

 レース後、デファゴ選手はチューリヒの全国紙「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」のインタビューに対し、次のように答えている。
「いい滑りをしているのは分かっていた。でも、ほかの選手の滑りを見たわけじゃなかったから。表示板で『-0.07秒』という数字を見たときは『ああ、これは中間計時なんだ』と思った。その横にある『1』が目に入るまでしばらくかかった」

 一方、優勝候補と目されていたにもかかわらずメダルを逃したキュシュ選手はレース後、スイス国営テレビドイツ語放送のインタビューで
「残念だが、滑っているときの感触はとても良かった。このコースは素晴らしい。スーパー大回転ではチャンスを物にしたい」
 とさっぱりした口調で答えた。デファゴ選手は16日、スーパー複合に出場する。

 ノルディックのコロニャ選手は昨季のW杯 ( ツール・ド・スキー ) で総合優勝を飾った新星だ。ノルディック競技ではスイス初のオリンピック金メダルとなった。2位のピエトロ・ピラー・コットレール選手とは24.6秒の大差でゴールした。

 レース後のテレビインタビューでコロニャ選手は
「信じられない。どう言ったらいいか分からない」
 と、まだ優勝の実感がわかないようだった。

 レースでは、3分の1が過ぎたころにコロニャ選手が主導権を握った。その後も2位との差を広げ、コロニャ選手にとって完璧なレース展開となった。一方、昨年の世界選手権で3冠を獲得し、今季のW杯でも総合1位と安定した実力を見せていたノルウェーのペッテル・ノールトゥグ選手は、コロニャ選手より遅れること2分以上。41位という惨敗を喫した。

小山千早 ( こやまちはや ) 、swissinfo.ch

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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