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鳥インフルエンザの対策会議とスイス政府

野生のガチョウなどの渡り鳥が鳥インフルエンザを運んでくる Keystone

世界的に流行する可能性のある鳥インフルエンザの対策を話し合う「鳥インフルエンザ国際会議」が本日11月7日から3日間、世界保健機関(WHO)のジュネーブ本部で開催されている。

すでにアジア諸国では62人の死亡が確認されている鳥インフルエンザ。会議では世界各国から集まった専門家たちが、特に今後のH5N1型ウィルスの蔓延を阻止するため、最新の情報を元に、意見を交換している。

 連邦保険局(BAG/OFSP)の国際課課長として、WHOの会議に出席するゴウデンツ・シルバーシュミット氏に、WHOの会議やスイス政府の対策などについて聞いた。

swissinfo : 鳥インフルエンザ国際会議に対してどのような期待をしていますか。

ガウデンツ・シルバーシュミット氏 : 会議は鳥インフルエンザ対策を効果的にするために意味あるものです。鳥インフルエンザの蔓延や人間に感染し世界的な大流行になる可能性を阻止するためには、世界各国の協力なしには実現できません。

現在のところ、鳥インフルエンザによる死亡者はアジア諸国で確認されています。スイスの対策が国内のみに限られてしまうのは危険ではありませんか。

今、3つの問題への対処が必要です。その一つ一つが深く関連を持ったものなのですが。まず、アジア諸国からルーマニアを経由してトルコまで拡大した鳥インフルエンザの今後の更なる拡大の可能性への対処。これからインフルエンザの季節に向かい、世界的大流行になる可能性があることへの対処。もっとも、スイスでは、インフルエンザにかかる危険の高い人に対する予防注射は終了しましたが。
また、農家などには家禽(かきん)を放さないよう指示もしていますし、今後も更なる対策を立てていくつもりです。
発生した場合の即急措置は重要です。製薬会社のロシュは、抗インフルエンザウィルス剤、タミフルを急ピッチで生産し、WHO向けに300万個用意しました。
いずれにせよ、インフルエンザの季節に大流行するようなことがあれば、自分の国は自分たちで守る。各国がそれぞれ対策をとることになるでしょう。

アジア諸国での鳥インフルエンザへの対策に1億ドル(約118億円)のコストがかかるとWHO は算出しています。スイスでの費用の予想はありますか。

スイス政府は9月に、500万フラン(約4億5000万円)必要であろうと見ていました。現在のところ、コストの予想はできません。

先にカナダで行われた会議では、予防注射の開発ためにもっとお金が必要だといわれました。

スイス政府は、最も危険だとされるH5N1型ウイルスに対する予防注射10万本分を用意するための必要経費の見積もりを出すよう、製薬会社に要請しています。まだ、予防注射が開発されたわけではありませんが。

タミフルの製造元のロシュは、特許権を放棄するようにと世論の圧力を受けています。スイス政府もそのような要請をしているのでしょうか。

スイス政府が企業に圧力をかけることは一切ありませんが、もちろんロシュとは常に連絡を取り合っています。ロシュは、タミフルを製造できるすべての会社に対して、製造する許可を与えることを確約しました。カナダでの会議でスイス政府は、製造の意向がある会社は直接ロシュと連絡を取るよう助言しています。

swissinfo、アダム・ボーモン 佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳

鳥インフルエンザの蔓延の緩和策。
世界的蔓延に対する予防策。
WHO、食糧・農作物関連国際機関、家畜関連機関、世界銀行の代表者が参加。

2003年末から特にアジア諸国で流行し、これまでに122人が感染し62人の死亡が確認された。
鳥インフルエンザにかかった鳥のフンに接触することで、人間に感染すると考えられている。
予防薬はまだ開発されておらず、代用薬としていまのところロシュのタミフルが効くであろうとされている。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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