
データで見るスイスの難民事情

ウクライナやアフガニスタンでは侵略・戦闘により、多くの住民が国内外に非難を余儀なくされている。温暖化により住まいを離れることになった気候難民も増えている。
世界で天災・人災が起こると、スイスも避難先として影響を受ける。誰がスイスに身を寄せ、誰が滞在を許されるのだろうか?
これらの疑問に答えるため、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は政府の重要統計をグラフ化外部リンクして毎月更新している。
誰が難民申請手続き中?
難民申請手続きは、巨大な受付ホールのようなものだと考えると分かりやすい。スイスで難民申請をする人は皆、このホールに入り、審査結果が出るまで何年も待たなければならない。
現在このホールにいる人、つまりスイスで難民申請し結果を待っている人の数は、過去数十年で最も多くなっている。2022年2月以降にスイスに入国したウクライナ人が申請件数を押し上げた。
ウクライナ人の大多数は特別在留資格「S許可証」を申請している。即時に一時的な保護を受けることができ、難民申請手続きを経る必要がなくなる。そのため、以下のグラフにはS許可証で滞在するウクライナ人の数は含まれていない。
新規の難民申請件数は?
毎月の新規難民申請件数は、難民をめぐる現状を知る重要な指標だ。このデータは2013年以降、スイス移民事務局(SEM)が毎月公表している。1994年から2012年までは年単位で公表されていた。
新規申請件数が顕著に増えたのは、1998~99年のコソボ紛争と、2015年末の欧州難民危機だ。スイスにも多くの難民が押し寄せた。
難民申請者はどこから来た?
難民申請者の出身国上位10カ国の多くが地域紛争の当事国だ。
既にスイスに住む同胞を頼ってスイスに身を寄せる難民により、一部の国の出身者が突出して多くなることもある。
☟グラフの見出しをクリックすると、表示順序を並べ替えることができます。
どのような難民申請がいつ承認される?
難民申請に対する当局の審査結果には、大別して3種類ある。
- 申請を承認し、申請者を難民として認定する
- 申請を却下し、申請者に国外退去を求める
- 申請を却下するが、出身国における拷問や戦争の恐れなど人道的理由により国外退去が不当であるとして、申請者の一時滞在を許可する。ただし、これらの理由は時間の経過とともに変更・解除される可能性がある
難民申請が承認される可能性はほぼない国籍もあるが、そうでなければケースごとに判断される。
独語からの翻訳:ムートゥ朋子、校正:大野瑠衣子

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