アンデルマットの兵舎。2008年撮影。軍の補助金を投じて、ウルゼレン谷の高級リゾートに変わることになる(Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbuehll/Franca Pedrazzetti
スイス軍の射撃練習場で、演習後、薬きょうを回収する兵士たち。2008年撮影(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
©Beat Brechb¸hl/Franca Pedrazzetti
最高級の複合リゾートがまもなく建設される予定の敷地を通り抜ける2人の住民(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti
50室のホテルと106戸のホリデー・アパートメント、13のロフトとペントハウスを備えた5つ星ホテル、ザ・チェディ・アンデルマットの模型(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
©Beat Brechb¸hl/Franca Pedrazzetti
建設中のザ・チェディ・アンデルマット。2台のクレーンが重さ約100トンの2階建てシャレー(山小屋風の別荘)を新しい土台の上に設置しようとしている。2010年撮影(Keystone/Sigi Tischler)
SIGI TISCHLER
近隣の山の農場でチーズ作りをしている農協のメンバー、カロリン・レグリさん。休憩中の1コマ。2009年8月撮影(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
©Beat Brechb¸hl/Franca Pedrazzetti
解体直前のグランド・ホテル・ダニオート。2008年5月撮影(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbuehll/Franca Pedrazzetti
スイス軍によるアンデルマット最後の射撃演習。2008年4月(Franca Pedrazzetti)
Franca Pedrazzetti
高級リゾート建設予定地に近いゲムスシュトックで開催されたスキー競技会。2008年3月撮影(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbuehll/Franca Pedrazzetti
ザ・チェディ・アンデルマットの建設現場、2010~11年。ウルゼレン老人ホームの敷地に隣接している(Beat Brechtbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbühl
建設真っ最中のザ・チェディ・アンデルマット。2011年撮影(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti
解体されるスイス軍のヘリコプター基地。2009年撮影(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Beat Brechbuehll/Franca Pedrazzetti
地元の役人、産業界の指導者らとサミフ・サウィリス氏(壇上、左から2人目)は、2009年9月26日、リゾート建設開始を記念する起工式で鍬入れを行った(Keystone/Beat Brechbuehl/Franca Pedrazzetti)
Keystone/Sigi Tischler
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マルチメディア・チームの一員として、写真編集、写真選定、エディトリアルイラストレーション、ソーシャルメディアなど、画像全般を担当。
1997年から2002年までチューリヒとロンドンでグラフィックデザインを学ぶ。それ以来、グラフィックデザイナー、アートディレクター、フォトエディター、イラストレーターとして働く。
Helen James (写真編集)、Beat Brechbuehl&Franca Pedrazzetti(写真)
かつては平凡な山村だったスイス中部ウーリ州のアンデルマット。しかし、スイス最大の観光リゾートを建設するというエジプトの億万長者の開発構想によって、村の景観と村人の生活は大きく変わった。2人のスイス人写真家がアンデルマット一帯の以前の素朴な姿に光を当てた。
スイス中部ウーリ州アンデルマットの巨大リゾートは、アルプスの他の観光地とは桁が違う。よりラグジュアリーだ。6軒の最高級ホテル、500戸のホリデー・アパートメント、屋内プール付きの会議場まである。2013年に開業したホテル、ザ・チェディ・アンデルマット外部リンクの「グランド・デラックス・スイート」は、シーズンにもよるが、1泊1700フラン(約18万6千円)だ。
これまでに、約10億フランが投資されたが、リゾート開発はまだ完了していない。
軍用地としての歴史
04年、スイス軍が縮小され、アンデルマットでは、定期的に新兵が訪れていた専門的訓練施設の数が減った。数十年にわたり、スイス軍は、オーバーアルプ峠、フルカ峠、ゴッタルド峠の間に位置するウルゼレン谷の村の収入源であり、村に200人分の雇用を提供してきた。他の産業といっても、農業といくつかの小規模企業があるだけ。アンデルマットには村おこしが必要だった。
物議を醸す開発事業
エジプトの億万長者サミフ・サウィリス氏は、05年、財政難にあえぐアンデルマットに投資するよう勧められた。その1年後、スイス連邦国防省は、ウルゼレン谷の全住民から成る公法人のウルゼレン組合外部リンクに、アンデルマットの軍用地をまとめて1千万フランで払い下げた。ウルゼレン組合は、アンデルマット、ホスペンタール、レアルプの3つの基礎自治体を管轄する。谷最大の地主で、93%弱の土地を所有する。ウルゼレン組合は、基礎自治体や州が行う職務の代行機関として、アンデルマットの軍用地を買い、購入価格と同じ金額でサウィリス氏に転売した。
開発計画は論議を呼んだ。サウィリス氏に土地を手放すよう説得されるまで、地元の農夫からの反対もあった。今になってみれば、出来過ぎた話と見えたに違いない。どこからともなく現れた億万長者が、財政上の心配の無い未来を約束したのだ。ある退役軍人の住民は、地元民に手が届く住宅が十分でないと不満を訴えた。また、スイス軍は軍用地を実際の価値よりも低い価格で払い下げたとの懸念もあった。そうでなければ、サウィリス氏が興味を持つことはなかっただろう。
(英語からの翻訳・江藤真理)
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