スイスの視点を10言語で

キティちゃんが好き!

スイスの女性もキティちゃんが好き swissinfo.ch

スイスでは最近、キティちゃんが人気だ。デパート、大手衣料品店、玩具店でハローキティ・コーナーを設けている。

20代のスイス人女性がハローキティグッズを持っている。ファッションは黒がベースの、シックで大人志向だったはずの彼女たちにいま、何が起こっているのか?

 チューリヒ市、芸術家たちが住み、文化のトレンドセッターとなる5区のバー。たばこの煙とお酒の匂いが漂う中で働くAさんは、胸にキティちゃんが大きくプリントされたTシャツを着ている。「好きだから」と、理由は単純。彼女はハローキティグッズをたくさん持っているという。大人の雰囲気が漂うバーで受け入れられているのがスイスのハローキティらしい。

「かわいい」文化の芽生え

 アフターファイブのバスの中。二十歳位の若い女性が2人肩を並べて座っている。
「新しい商品が出たら、絶対にすぐ教えてよね」
 笑顔の彼女の視線は、隣に座る友だちのひざの上に載っているブラウン系小型ボストンバックに向けられていた。よく見るとそのバック、キティちゃんの顔が織り込まれている。「399フラン ( 約4万円 ) もした」という。かわいくて高いものを身に着けられるのが嬉しいらしい。

 チューリヒ市内の玩具店の「ガールズ」の一角を占めるハローキティ・コーナーでは、乳母車を押すリリアン・ベヒトルトさんと友人のクラウディア・シュトロイリさん ( 2人とも33歳 ) がハローキティ商品をあれこれ手に取って見ている。この店で扱っているハローキティの種類が少なすぎると不満そうなベヒトルトさん。日本のキャラクターだと当然知っている。
「日本に居たときクラスメートが持っていて、かわいいと思いました。半年後にはスイスでも売られるようになって嬉しかった」
 子供用と自分用とを買うのだそうだ。

 16歳の摩耶・ガイスさんもハローキティのピアスやスカーフを持っている。母親の恵美さんは
「以前は身に付けるものや持ち物のすべてがドクロマークだったのですが、一変してかわいいキティちゃんになりました。男の子はナイキやアディダスのブランド。そういったものが無かった女の子たちに受けているのでは」
 と分析する。近年になって急にブランド志向が芽生えたスイスの若者たち。マンガを通して触れた日本の「かわいい」文化に、丁度良いタイミングでハローキティがはまったようだ。

ブランド志向の波に乗った

 ハローキティがスイスに上陸したのは今から約30年前。日本から直接輸入されていた。現在は輸入代理店によるオリジナル製品とライセンス製品の2本立てとなっている。輸入代理店の「ゾンボ ( Sombo ) 」の担当者、ガブリエラ・フリードリ氏も4年前から売り上げが上昇したことを認める。自ら、ハローキティTシャツで出勤しているという。
 「商品が多方面に渡ることが人気の1つ。キティちゃんが好きな人には、すべての物がキティちゃんで揃うのが良い」

 スイスでハローキティ613種類を取り扱うインターネットショップの「ファンショップ」のオリヴァー・リーマッハー氏は、若者に人気の有名人が身に着けていたことから、大人へのアピール度が上がったとみる。

 ヨーロッパを総括するサンリオ・ヨーロッパ ( Sanrio GmbH ドイツ・ハンブルク、1983年創立 ) の大西俊二ディレクターによると、過去5年間でヨーロッパにおけるハローキティの取り扱い高は倍増した。
「日本からアジアを通ってヨーロッパに人気が波及した。良い意味で遅れている。
ヨーロッパの人も気軽にアジアに旅行する今、そこでハローキティに出会ったりするのではないか」
 
 1974年生まれのキティちゃんが、大人になったのか。スイスの女性が子供化したのか。シックなファッションの中でもアクセントになる「ファッション・アイコン」として、日本発のキティちゃんはスイスでも愛されている。
 
swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部