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「難民の受け入れ施設を国外へ」法務大臣が支持

難民の受け入れ施設は欧州外に。ブロッハー法相もEU案を支持。 Keystone

クリストフ・ブロッハー連邦司法相は、スイスへの難民希望者をスイス国内で受け入れる前に、難民が避難してきた戦争や紛争のある現地で受け入れの審査をするという案を支持すると発言し、論議が沸騰している。

このコンテンツは 2004/09/02 13:35

難民受け入れ団体などは同相の提案について、「難民一人一人の事情を無視したものである」と非難し、慎重な検討が必要だと主張している。

クリストフ・ブロッハー司法相は難民受け入れについて今後、より厳しく取り締まる方針を明らかにした。同法相は欧州連合(EU)の一部の国が提案している、難民受け入れ施設をEU域外に設置する案を支持している。

国際的レベルでの検討が必要

ブロッハー司法相は、「連邦の負担は主に難民審査にかかるコストで、外国でこれを処理すればスタッフなどの人件費が現在より大幅に少なくてもすむ」という。また、スイス軍隊と外務省の開発協力局(DEZA/DDC)が、スイス国外の現地で難民受け入れを検討する業務をすべきだという。

ブロッハー法相案について開発協力局は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などとの話し合いが必要という態度で、いまのところノーコメントだ。UNHCRは、難民問題については多角度で話し合うことを歓迎している。ただ、「現地に難民受け入れの事務所を設置することで、欧州諸国が『鎖国』状態になることは問題である」と同事務所のマダレナ・ホック弁護士は発言している。

難民一人一人の事情

現地に難民受け入れ施設を設置しても、難民と偽ってスイス国内へ流入してくる「非合法な」外国人の差し止めは不可能で、根本的な解決にはならないというのが、難民の援助にかかわっている組織の大方の見解である。前出のホック弁護士は、「EU諸国間における難民の受け入れ基準の統一については、検討する価値がある」と言うが、同提案が実践されることで「公正な難民受け入れ政策が不可能になる」と懸念する。

スイスで難民の世話をしている非政府組織(NGO)の中心的存在である難民援助機関(SFH/OSAR)のユルク・シェルテンリーブ氏は、「難民受け入れ業務で重要なのは、難民一人一人の事情を調査し考慮することだ。ブロッハー司法相案が実践されても、難民受け入れを制限する手段になるのだろうか」と指摘した。

EU内でも検討中

EU域外に難民受け入れ施設を設置する案がEU諸国でも再び話題となっている。イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相は最近になってリビアと、非合法の外国人流入対策について話し合いを持った。その中で、共同で国境の警備に当たることやリビア国内でまず難民を収容し、そこで難民として受け入れるかの選択をするという案が提案された。

英国トニー・ブレアー首相が昨年春、EU域外に難民受け入れ施設を設置する案を提出した。しかし、世論に厳しく非難されたことから撤回を余儀なくされた。最近になってこのブレアー案をドイツのオットー・シリー内相が取り上げるなど、欧州諸国では、これまでの難民政策の見直しの兆しが見えている。

EU拡大後、各国の対難民政策における協力体制は強化され、EU域内と域外の国境における難民受け入れの審査が厳しくなる可能性は高いと見られる。9月に開催されるEU各国内相理事会でも、難民問題は議題として取り上げられる模様だ。

スイス国際放送 クリスティアン・ラフラウブ バルバラ・スペチアリ
(佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

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