今年記録的な猛暑だったスイス。バーゼル大学の研究で、スイスの天然林が考えられていたよりも高温に強いことが分かった。ただ、一貫して温暖化が進み降雨量が減った場合も樹木が耐えられるかは未解明だ。
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バーゼル大は3年にわたる調査外部リンクの結果、大半の天然品種が、2015年に起きたような深刻な干ばつに対しても生理学的に耐えられるようにできていることがわかった。気孔を効果的に閉じたり十分に糖分を蓄えたりできるためだ。今夏の熱波でこの事実が改めて確認された。
ただ気孔を閉じることには、光合成の速度が遅くなるという副作用もある。気孔が長い時間閉じていると、樹木は糖分を生成できず、最終的には枯死する危険がある。理論的には、樹木は干ばつになると枯死のリスクを選んでいたとみられていた。バーゼル大の研究で初めて事実が証明された。
この研究では、気孔を閉じることにより伝導路が傷つくのを防ぎ、土壌からの水分を吸収して乾燥の危険性を避けることが分かった。気孔を長期間閉じていると、樹木の糖分貯蔵量が減るという証拠は見つからなかった。まだ樹木が健康であるという兆しだ。
研究者らは、8月に葉が黄色に変わるのを見ても驚く必要はないと話す。バーゼル大学環境科学科のアンスガー・カーメン教授は「早い時期に落葉するのは、樹木の乾燥を防ぐもう一つの安全策だ」と説明した。
「茶色になった葉はもはや光合成できないが、今年は越冬のための糖分を十分に貯蔵できている」(カーメン教授)
天然木は15年や18年のような単年で起きる異常気象には対応できるが、気温上昇や干ばつが深刻化するのに十分なメカニズムがあるかどうかは不明だという。
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途上国を含む全ての国が、温暖化防止に取り組むことを定めた「パリ協定」の行方に暗雲が漂っている。同協定からの脱退を公約したドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領に決まったのが一因だ。スイスメディアや政府関係者の間では、温暖化対策の後退は避けられないとの見方が広がっている。
モロッコで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)は19日、パリ協定の実現に向けて具体的なルールを2018年までに策定することで合意し、閉幕した。それに先立つ4日にはパリ協定が発効した。
「地球温暖化の取り組みで最も重要な人物、ドナルド・トランプ氏は現れず」。
COP22の閉幕にあわせて、スイスの有力紙NZZはこんな見出しの記事を掲載した。温室効果ガスの排出量世界2位の米国がトランプ氏の公約通り脱退すれば、パリ協定前に逆戻りしかねないと警鐘を鳴らした形だ。
トランプ氏は選挙戦中、地球温暖化を「でっち上げだ」と一蹴。パリ協定からの脱退に加えて、オバマ政権の環境・エネルギー政策の白紙撤回や、米環境保護庁(EPA)の解体を主張してきた。
NZZによると、COP22の会期中に参加国は、米国が脱退した場合の対抗措置についても議論。メキシコやカナダは、米国からの輸入品に炭素税を課すことを検討中だと報じている。
一方、日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、温暖化問題に取り組む国際交渉に影を落としたのは、「トランプ・ショック」だけではないとも指摘。COP22では、パリ協定のルール作りをめぐり、先進国と途上国の対立が再燃した場面があったことを示唆した。
パリ協定では先進国と途上国の双方が温室効果ガスの削減で努力することが決まった。
だが、途上国側からすると、温暖化を招いた責任は先進国にあり、先進国は温室効果ガスの削減に積極的に取り組むと同時に、途上国の温暖化対策に資金や技術を提供すべきとの考えが根強い。
ドリス・ロイトハルト環境相はCOP22の会期中、途上国への資金・技術援助として500万フラン(約54億800万円)提供すると表明した。
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