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スイスの技術革新は不景気知らず

スイスのR&D支出をリードする製薬業界 Keystone

世界的な不景気で特に輸出関連業界が打撃を受けている一方、スイス国内の企業は引き続き巨額の研究開発費を投入している。

このコンテンツは 2010/02/25 15:25
swissinfo.ch

公式統計によると、2008年のスイス国内における研究開発に対する支出額は120億フラン( 約1兆220億円 ) と好景気だった2004年比で24%も増加した。またスイス企業の国外でのR&D支出額も158億フラン ( 1兆3500億円 ) と2004年比で64%の急成長だ。

国際競争力トップ

スイスは研究開発 ( research and development ・R&D ) に国内総生産 ( GDP ) の2.2%を投資している。GDP比で見たR&D支出の国別ランキングによると、スイスは世界6位に位置している。スイスに拠点を置く企業は新製品や新しいサービスの開発のために、アメリカ、ドイツ、フランスなど経済規模の大きい国よりも多くの資金をR&Dに投資している。

しかし、こうした現象はスイスでは目新しいことではなく、これまでも大企業を持つ製薬業界が牽引車となって行われてきた。特に「ロッシュ ( Roche ) 」や「ノバルティス ( Novertis ) 」のような大手を含む製薬業界による2008年のR&D支出の総額は46億フラン( 約3900億円 ) と、私企業セクターのR&D支出総額の3分の1以上に相当する。

中小企業の多くもまたR&Dに相当の投資をするスイスでは、技術革新のための投資は事業の展望の一部として深く根付いている。こうした努力の結果、スイスは「世界経済フォーラム ( The World Economic Forum) 」の国際競争力ランキングで現在トップの座を占めている。

百年の計

「スイスは経済危機でほかの国よりもあまり大きな打撃を受けていません。ほとんどの企業が健全な財務状況を維持しており、長期的な戦略を採用しています。多くの企業がコスト削減や労働時間の短縮を実行しましたが、研究費は削っていません」
とバーゼル大学の経済学教授シルヴィオ・ボルナー氏は語った。

スイスは外国企業にとって最も重要な拠点となっているが、このこともまたR&D支出の増加に間違いなく貢献している。低率の法人税、熟練労働者へのアクセス、高い生活水準などに引きつけられ、「グーグル ( Google ) 」や「クラフト ( Kraft ) 」のような世界的大企業も最近スイスにおける事業の設立または拡張を開始した。

ボルナー氏は、近ごろ脱税に関してスイスとほかの国との間で発生した摩擦は、スイスの税務当局のリベラルな姿勢を際立たせ、こうした傾向に一層の拍車をかけることになるだろうと言う。
「ほかの国々と比較してスイスの法人税は低率です。しかしこれと同じくらい重要なことは、スイスの税務当局が非常に合理的な考え方を持ち、企業をパートナーのように遇していることです」

連邦統計局 ( BFS/OFS ) の数字によると、スイス企業による国外でのR&Dプロジェクトへの投資が増えている。2004年比で64%という大幅な増加の背景には、近年増加している国外買収が反映されているようだ。ロッシュが昨年サンフランシスコに拠点を置くバイオテクノロジー企業「ジェネンテック ( Genentech ) 」を買収したことはその一例だ。

国際競争の激化

経済連合「エコノミースイス ( economisuisse ) 」のエコノミスト、ルドルフ・ミンシュ氏は、途上国、特にアジアの途上国との競争の激化によってスイス企業は海外に投資せざるを得なくなったと主張する。
「スイス国外でのR&D支出が国内でのR&D支出を圧迫するようなことは起きていませんが、研究セクターは実質的にグローバル化の傾向を見せています」
とミンシュ氏は統計の発表時に説明した。
「ここ数年の間に、国際競争は特に研究開発セクターでも激化しており、スイス経済の中心にも圧力がかかっています。ヨーロッパの数カ国とアジアの数カ国、特に中国とシンガポールは研究に重点を置く政策を取っており、外国企業を誘致するための条件を改善しました」

ミンシュ氏は、教育への支出を増やし、有限会社の設立と非ヨーロッパ人に対する規制を緩和することによって、この競争に追いつくべきだと訴える。
「欧州連合 ( EU ) との労働者の自由な移動についての2国間協定は、有資格労働者の流入を保証するための基礎です。しかしスイス経済は、将来いくつかの分野における研究開発を保証するために、ほかの大陸からの専門家をもっと受け入れることが必要です」

マシュー・アレン 、アルマンド・モンベリ協力、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、笠原浩美 )

研究開発 ( research and development ・R&D ) の支出

スイス国内におけるR&D支出額は、2000年78億フラン( 約66億円) 、2004年96億フラン ( 約8180億円 ) 、2008年120億フラン ( 1兆220億円、2004年比24%増 ) 。
スイス企業による国外での2008年のR&D支出額は158億フラン ( 1兆3460億円、2004年比64%増 ) 。
2000年のR&D支出額は78億フラン ( 約66億円 ) にとどまった。
製薬企業は2008年にスイス国内でのR&Dプロジェクトに対し46億フラン( 約3920円億 ) を投資した。これらの企業は通信技術に23億フラン ( 約1960億円 ) 、機械類に14億フラン( 約1200億円)、化学関連に6億4300万フラン ( 約550 億円 ) の投資を行った。
GDP比で見た2008年のスイスのR&D投資は、2.2% ( 2004年は2.1% ) で、国別ランキングで六位に位置する。上位五カ国は、イスラエル ( 3.7% )、日本 ( 2.7% ) 、スウェーデン ( 2.6% ) 、韓国 ( 2.6% ) 、フィンランド ( 2.5% ) 。
その他の国のGDPに対するR&D投資額の割合は、欧州連合 ( EU ) 平均1.1%、アメリカ1.9%、ドイツ1.7%、フランス1.3%。
スイスのR&Dセクターにおける2008年雇用者数は3万9832人と2004年以来20%の増加。

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