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偽造薬品取引は経済危機知らず

バイアグラは最も模造される薬品の一つ Keystone

2009年度の税関年間報告によると、偽造薬品取引は国内外ともに増加する傾向にある。連邦知的財産権協会は、国際協定が施行されれば、海賊行為を厳しく取り締まることができると見込んでいる。

このコンテンツは 2010/02/27 15:25

昨年6月、ジュネーブの倉庫でおよそ1万7000箱の偽造医薬品が発見された。ジュネーブ税関当局は報道会議でこれを2009年における最大規模の事件だと発表した。

急増化する模造品

税関当局によると、偽造医薬品の取引は増加の一途をたどっているという。連邦税関事務局 ( EZV/AFD ) は、2009年に1154件 ( 昨年は687件 ) の非合法の医薬品輸入を摘発した。これらは偽造された医薬品、もしくはスイスで禁止されている医薬品だ。

「ここ数年間、模造品取引が増加する現象を目の当たりにしてきました。医薬品だけでなく、ほかの製品についてもです。10年前は高級品だけがコピーされていましたが、今日では医薬品や衣服、車や飛行機の部品も模造されています。模造されていない製品はほとんどないほどです」
と連邦知的財産権協会 ( IGE/IPI ) 法律課責任者のユルク・ヘレン氏は語る。同氏は偽造医薬品取引の増加には特に驚いていないようだ。

経済協力開発機構 ( OECD ) が最近行った統計では、不法取引の規模は2000年から2007年にかけて1000億ドル ( 約9兆円 ) から2500億ドル ( 約22兆5000億円 ) に150%増加したことを示している。

すべては犯罪組織の手中に

このような不法取引はコストがほとんどかからないことを利点に急増化した。当然、模造品を製造するために、医薬品研究費や、開発費、マーケティング費用はかからない。また、唯一必要な人材費も最小限だ。

模造品の製造者は、輸送代があまりかからないことや、インターネットで買い物をする人が増加していることなど、近年変化した国際取引の性質を利用して莫大な利益を得ている。こういった模造品の出所はここ数年変わらず、ロシアと中国だ。模造品を販売することで莫大な利益を得ている組織の実体はおおよそ確認されているようだ。

「税関当局と警察は、このように小さいリスクで巨大な収入を得る活動は組織犯罪であることを示唆しています。消費者は、模造品のTシャツに支払うお金が犯罪組織のポケットに入ることをはっきりと自覚するべきです」
とヘレン氏は語る。

模造品や海賊盤は、ブランド品会社がいつの時代も大々的に広告し、それが高価で購入できない人たちにとっても魅力的なゆえに製造されるようになった。しかし、コピー商品がはびこると高級ブランドの価値は無くなる可能性がある。コピー商品は高級品であることがステータスであるブランド品を無価値なものにしてしまうからだ。

火急課題

今日、コピー商品や海賊品は経済に直接打撃を与えるので、この問題は工業関係者と各国政府にとって火急課題になった。

「ここ数年間で特に工業国の経済に対する意識は変化しました。以前は商品を製造することが重要でしたが、今日では商品の知的所有権が商品自体よりも重要になっています。ただ、厄介なことに知的所有権はとても簡単にコピーされやすいのです」
とヘレン氏は語る。

そこで政府は、知的所有権を守るためにより多くの対策を行ってきた。
「以前は罰金、禁固刑などを課すことで、法的に模造品を取り締まりました。ここ数年間は、模造品を購入することのリスクとその結末がどうなるのか、はっきりと自覚してもらうために消費者の意識を高めてきました」
とヘレン氏は語る。

条約は議論の的に

国際レベルにおいても、効力のある対策を講じて模造品や海賊品の取り締まりを行わなければならない。そのために現在、西ヨーロッパ諸国や北米、スイス、メキシコ、韓国、シンガポール、モロッコの各国間で模造品、海賊版拡散防止条約 ( Anti-Counterfeiting Trade Agreement / ACTA) が審議されている。

「この条約は、新対策を定義づけることを目的とするだけでなく、政府間の国際協力を強化することも目的としています」
とヘレン氏は語る。

しかし、1月末にメキシコで行われたこの話し合いは、市民社会で反対運動を巻き起こした。条約の交渉内容に不透明な部分があることや、無料コンピューターソフトを配布する製造業者に対して攻撃的なことや、インターネットプロバイダーに問題のある業者に広告をさせないように圧力をかけることなどが批判された。

「著作権を守るための過度な言動や対策については考え直さなければなりません。しかし、知的所有権の問題と模造品の問題は切り離して考えるべきです。知的所有権に対して手数料を支払うことに無関心だからといって、模造品に対して無関心になってはならないのです」

フレデリック・ベルノー、swissinfo.ch
( 翻訳、白崎泰子 )

模造品、海賊版拡散防止条約 ( Anti-Counterfeiting Trade Agreement /ACTA )

<目的> 模造品、および海賊版を取り締まり、知的所有権の施行を可能にするために国際基準を定義づけることを目的とする。
<三つの要素> 国際協力と法律を施行するための大局的な条件、世界共通の法的枠組みを取り決めるという三つの要素を含んでいる。

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取り締まり手段の一つ

ATCAは、模造品、海賊版の問題解決のために取り締まり手段の一つとしてスイス政府に貢献するとされる。

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世界貿易機関( WTO )

ATCAは、知的所有権の専門分野において既存の国際法であり、WTO加盟国が制定した既存の国際協定に基づいている。

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リスク

模造品、海賊品は消費者にとって致命的な結末になる可能性がある。偽造医薬品を使用することで、消費者の生命と健康が直接危険にさらされるため、世間一般にとって危険なものとされる。

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大局的な取り締まり

ATCAは原則として、模造品、海賊版を製造する活動や組織に対して大局的に取り締まり、それを購入する個人の領域に干渉することが目的ではない。

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