新型コロナウイルスに伴う国内の経済損失は月110億~170億フラン(約1兆2100~1兆8700億円)で、回復には数年を要するー。スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)のトーマス・ジョルダン総裁が日曜紙に国内経済の見通しを語った。総裁は1930年代以来最悪の不況になると予測している。
このコンテンツが公開されたのは、
2つの日曜紙のインタビューで、ジョルダン総裁はパンデミック(世界的大流行)後の失業者数の増加と経済成長の後退に触れた。同氏は日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥング外部リンクに対し、経済は現在、通常の7~8割が稼働していると語った。
「多くの人々は、これらの数字がスイスの繁栄において何を意味するか、まだ想像できないかもしれない。しかし、この損失は今後数年間尾を引くだろう」と述べた。
政府は企業救済策として計570億フランの緊急融資措置を講じ、議会で承認された。同紙はこの金額が最終的には1千億フランに膨れ上がるとみる。そうなれば、この国の経済支援パッケージは金額としては世界で上位20カ国に入る。
連邦経済省経済管轄局(SECO)は失業率の上昇に加え、今年の国内総生産(GDP)の成長率をマイナス6.7%と予測する。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。
もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
世界的な景気後退により、安全資産のスイスフランに人気が集中することが予想される。フランの急騰を避けたいスイス中銀にとってはさらなるプレッシャーがかかる。フラン高は国内の輸出業、観光業に大きなダメージをもたらすからだ。
スイス中銀はマイナス金利政策を継続し、フラン相場を抑えるため継続的に為替介入している。しかし一部では、政策に投じられた8千億フランが中銀の首を絞めることになるのでは、と懸念の声が挙がる。
ジョルダン総裁はフランス語圏のトリビューン・ド・ジュネーブ外部リンク紙に「SNBの金融政策がなければ、フランの現在のレートは全く違ったものになっていただろう」と強調。デフレとの戦いに対応できる余力も残っていると述べた。
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
おすすめの記事
新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。
もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
続きを読む
おすすめの記事
スイス中銀、コロナ危機でも利下げ見送り
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は19日、政策金利をマイナス0.75%に据え置いた。新型コロナウイルスの世界的流行への懸念で金融市場が混乱し、中銀の緩和策も神通力を失いつつある。事態のさらなる悪化に備え、切り札を残した格好だ。
もっと読む スイス中銀、コロナ危機でも利下げ見送り
おすすめの記事
マイナス金利政策の勝者と敗者
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がマイナス金利政策を導入してから5年超が経ち、経済・社会的な影響が一段と広がっている。批判も多いが、SNBがマイナス金利を取りやめる気配はない。スイスの通貨フランの過大評価を防ぐには、マイナス金利が不可欠との考えからだ。
もっと読む マイナス金利政策の勝者と敗者
おすすめの記事
スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマイナス金利政策は、スイス経済全体にとっては利益よりコストの方が大きいと考えられている。個々の企業収支に与える影響は今のところ小さいが、大手金融機関が顧客にマイナス金利を転嫁する動きが広がり、今後はダメージが大きくなる可能性がある。
もっと読む スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
おすすめの記事
スイス中銀総裁、マイナス金利の深堀りを示唆
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のトーマス・ジョルダン総裁は3日付の国内紙のインタビューで、現在マイナス0.75%に設定している政策金利をさらに引き下げる可能性を示唆した。
もっと読む スイス中銀総裁、マイナス金利の深堀りを示唆
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。