スイスの金融機関と金融当局は、金融システムで起こる組織犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐための方策が不足している。国際会計企業KPMGが26日に発表した調査外部リンクで分かった。
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「金融サービスにおける犯罪に関する透明性」と題する調査では、銀行が金融犯罪を確実に防ぎ、犯罪活動を摘発するために対処すべき課題や問題点を掘り下げた。
調査は、新しい技術や電子マネーの登場により、国境を越えたお金カネ の流れを追跡するのがますます難しくなったと指摘する。一方、現在の金融規制は技術開発のスピードに追いついていないという。
調査した50行の中には、リスク評価やITインフラに関連した赤字を抱えている銀行もある。
必要な行動
調査は、銀行業界は金融犯罪を徹底して防止・摘発することに尽力するとアピールすべきと指摘する。従業員の問題意識を高め、コンプライアンスを守りコスト削減に努める必要があるという。
必要なのは、銀行内部に金融犯罪のリスクに対処する枠組みを構築することだ。銀行は強力なコンプライアンス文化を育成する必要がある。コンプライアンスに違反した従業員の処罰などにより「あるべき風紀」を作るのは、経営陣の責任であると指摘する。
犯罪の防止・摘発のためには、スイス連邦警察省のマネーロンダリング通報局外部リンクへの通報についても質を高めるべきだと明記した。優れた通報が習慣化すれば、スイスの金融市場全体にとってメリットが大きいと結論づけた。
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スイス国内で流通している1000フラン札は、2000~14年の間に2千万枚から4千万枚へと倍増した。
中道左派のスイス社会民主党マルグレット・キーナー・ネレン議員はテロリストや犯罪者間での現金取引やマネーロンダリングに悪用されやすいとの観点から、高額紙幣の流通を懸念する。
だがスイス政府は19日、こうしたリスクを認識しており、高額紙幣を使った違法行為の防止に必要な対策はすでに講じられていると文書で回答した。
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