スイス国内の意識調査で、日常生活に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルスより、がんや精神疾患の方が心配だと答えた人が多かったことが分かった
Keystone / Urs Flueeler
スイス人は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)よりも、精神疾患や抗生物質が効かない薬物耐性の方が社会的リスクが大きいと考えていることが、意識調査で分かった。
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また回答者の約60%が、新型コロナウイルスワクチンが入手可能になった場合、接種するつもりだと答えた。
健康保険会社CSSの委託で、調査会社ソトモがパンデミックの第1波直後の6月初めに実施。スイス国内に住む4200人が回答した。
第1波直後にもかかわらず、病気の中で新型コロナウイルス感染症が最も不安と答えた人は全体の0.6%にとどまり、がん(36%)、認知症(17%)、心血管疾患(6%)がいずれも上回った。
これは、新型コロナウイルス感染が過去にかかった病気で最も深刻だった、と答えた人が全体のわずか0.3%であることも関連していると言えそうだ。
調査外部リンクの担当者は、新型コロナウイルスの「当面の大規模な封じ込め」が比較的短期間で行われ、それが公衆衛生への信頼強化につながったと述べた。
それぞれの現象に対する社会的リスクの大小を聞いた質問項目で、パンデミックが社会にもたらすリスクは「大きい」「とても大きい」と答えたのは全体の38%にとどまった。精神疾患はその倍の63%、抗生物質が効かない薬剤耐性では72%に上った。ホルモンや農薬で汚染された飲料水では53%で、いずれもパンデミックを上回った。
調査では、言語圏での違いも出た。ドイツ語圏では回答者の約半数が、不明な症状が出た場合、まずはそれが治まるか様子を見ると答えた。一方フランス語・イタリア語圏は、そのような人は少数にとどまった。
また新型コロナウイルスワクチンが実用化された場合、必ず接種すると答えたのは約33%だった。受けるつもりだと答えたのは30%だった。接種を希望する人は、高年齢層に目立った。
若者への影響
チューリヒ大学が実施した別の調査外部リンクでは、新型コロナウイルスにより自身の研究や仕事に影響は出たものの、うまく対処している様子が見て取れる。
2004年以来、チューリヒの若者の生活を調査している「子供から大人の社会的発展に関するチューリヒプロジェクト(通称z-Proso)」が今年4~5月の3回、それぞれ約700人にコロナ危機が日常生活にどう影響したかを尋ねた。
ロックダウン(都市封鎖)さなかの4月時点では、57%が「日常生活に深刻な影響が出た」と回答。5月のロックダウン段階的緩和後では10人中4人が、依然として日常生活に深刻な影響が出ていると答えた。一方、全く深刻な影響が出ていないと答えたのは4月時点では26%、5月時点では3人に1人だった。
多くはロックダウン期間中に友人や家族に会えなかったのがつらかったと答えたが、約75%が政府の公衆衛生対策は公正かつ効果的だとして支持した。ただ一部の意見は時間の経過とともに変化した。ソーシャルディスタンシングを守らないのは間違っていると答えた人が4月時点では3分の2だったのに対し、5月時点では40%未満に減った。
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