SEBAは「クリプト・バレー(暗号の谷)」と呼ばれるツーク州に本社を置く
SEBA
世界初の仮想通貨銀行SEBAが12日、スイスのツーク州で開業した。年末までに3ケタの国内口座の開設を狙い、世界展開と1億フラン(約110億円)の資金調達を目標にする。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦金融市場監督局(FINMA)は8月、ブロックチェーンを活用したデジタル資産を扱うSEBAとSygnumに銀行免許を与えた。追加の営業基準を満たし、SEBAが公式に営業を始めた。
SEBAのグイド・ビューラー最高経営責任者(CEO)は多数の「強い関心」が寄せられていることから、数週間で数百口座が開設される見込みだと話す。関心を寄せるのは仮想通貨トレーダーに限らない。ビューラー氏は12日、「既存銀行の代替的なサービスを探している人が多いのに驚いた」と記者団に語った。マイナス金利政策を背景に運用益が下がり、他の投資先を探さざるを得ない人々がいるという。
来年上半期には、これまで民間投資家から集めた資金1億フランを大幅に増やしたいと考えている。デジタル証券を発行する「セキュリティー・トークン・オファリング(STO)」と呼ばれる資金調達手法を活用する。
ビューラー氏は追加で1億フラン以上を調達できると見込む。デジタル資産のみで資金調達することにより、STOの水準を引き上げるとも語ったが、詳細は明かさなかった。
新しい銀行業
元UBS行員のビューラー氏は、SEBAが暗号資産と伝統的な銀行業界のギャップを埋めることになると話す。スイスアルプスの山中にある軍事核シェルターにデータセンターを置き、デジタル資産の取引やウェルスマネジメント、カストディ(保管管理)業務を提供する。
口座開設には最低10万フランの流動資産を保有していることが条件だ。基本手数料は約500フラン。クレジットカードや仮想通貨用のウォレットを使ってビットコインやイーサリアム、ステラ、ライトコイン、イーサリアム・クラシックといった仮想通貨の取引が可能だ。
SEBAは来年以降、シンガポール、香港、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、オーストリア、ポルトガル、オランダにサービスを展開予定。
スイスではSEBAの他にビットコインスイス、タリオン、イニシウム、ヤペールが銀行業許可を申請している。
おすすめの記事
おすすめの記事
世界初の仮想通貨銀行 透けて見えるスイスの意地
このコンテンツが公開されたのは、
スイス金融当局から銀行業の許可を得て、世界初の仮想通貨銀行への一歩を踏み出したSygnum。仮想通貨と従来型金融の世界をつなぐ架け橋になる、と創業者たちは業界の盛り上がりに期待を寄せる。暗号資産分野で世界の主導権を握りたいスイスにとっても大きな節目となりそうだ。
もっと読む 世界初の仮想通貨銀行 透けて見えるスイスの意地
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
おすすめの記事
スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。
もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
おすすめの記事
スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
このコンテンツが公開されたのは、
パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。
もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
おすすめの記事
スイスで放射能測定の合同演習
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。
もっと読む スイスで放射能測定の合同演習
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
このコンテンツが公開されたのは、
自殺カプセル「サルコ」を運営する自殺ほう助団体「ラストリゾート」共同設立者のフロリアン・ウィレ氏(47)が、先月5日にドイツで死去していたことが分かった。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
おすすめの記事
スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部レッチェンタール(ヴァレー州)で28日午後、大きな氷河が崩壊し、大規模な土砂崩れがふもとのブラッテン村を襲った。多数の家屋が倒壊し、1人が行方不明。
もっと読む スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
おすすめの記事
クレディ・スイス株で大損した株主、政府への賠償請求認められず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦最高裁判所は23日、スイス政府の「誤った情報」によりクレディ・スイス株で損失を被ったとして損害賠償を求めた夫婦の訴えを棄却した。
もっと読む クレディ・スイス株で大損した株主、政府への賠償請求認められず
おすすめの記事
移動式ホール「アーク・ノヴァ」がスイスに初帰国
このコンテンツが公開されたのは、
東日本大震災の被災者を勇気づけようと建設された移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」がこの秋、親元のスイスに初めて登場する。
もっと読む 移動式ホール「アーク・ノヴァ」がスイスに初帰国
おすすめの記事
スイス、メートル法準拠から150年
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは150年前にメートル条約に調印し、メートルやキログラムを導入した。それまでスイスの測定単位は地域や使途によって大きく異なっていた。
もっと読む スイス、メートル法準拠から150年
おすすめの記事
中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン州警察は19日、大規模な人身取引事件を摘発したとい発表した。容疑者は中国籍の5人で、146人の中国人女性をスイスに誘い出し、性労働に就かせていた。
もっと読む 中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
続きを読む
おすすめの記事
ジュリアス・ベア、仮想通貨企業SEBAと提携
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのプライベートバンク、ジュリアス・ベア(本社・チューリヒ)は、仮想通貨の新興企業SEBA(本社・ツーク)と提携すると発表した。
もっと読む ジュリアス・ベア、仮想通貨企業SEBAと提携
おすすめの記事
仮想通貨「リブラ」、主要提携企業の脱退で波乱の船出
このコンテンツが公開されたのは、
米フェイスブックの仮想通貨プロジェクト「リブラ」は提携企業のうち7社が脱退を表明し、大きな打撃を受けた。プロジェクトの音頭をとるリブラ協会(本社・ジュネーブ)は憲章の策定や経営陣の刷新で、規制当局からの圧力に抗おうとしている。
もっと読む 仮想通貨「リブラ」、主要提携企業の脱退で波乱の船出
オピニオン
おすすめの記事
仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ツーク州にはフィンテック関連企業が多く進出し、「クリプトバレー(暗号の谷)」と呼ばれている。各国当局が暗号(仮想)通貨ビジネスの振興と規制の間で揺れるなか、両者のバランスを取りながらクリプトバレーの成功に賭けるスイスの姿勢は注目に値する。
もっと読む 仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
おすすめの記事
ブロックチェーンが変えるスイスのビジネス
このコンテンツが公開されたのは、
ブロックチェーン技術が初めて登場した2008年、データの管理ややり取りに革命が起きると期待された。技術のビジネス化に10年の時を要したが、ようやく活用事例が現れ始めた。その舞台はスイスだ。
もっと読む ブロックチェーンが変えるスイスのビジネス
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。