EUも旅客の個人データ収集へ
欧州連合 ( EU ) はアメリカにならい飛行機を利用する旅客の個人データ収集システムを作るよう、EU加盟諸国に提案している。
このプロジェクトは「テロとの戦い」の一環で、スイスにも関係する。なぜならEUは、スイスも調印している「シェンゲン協定」同盟国間で実施したいとの意向があるためだ。
航空会社が切符を発行する際に客に要求するデータは19の項目にわたり、メールアドレスから電話番号、クレジットカードの番号にまで及ぶ。「旅客者記録 ( PNR ) 」と呼ばれるデータは各国の「旅客者情報局」に渡され、EU加盟国のテロ対策関係局間で情報を交換し合うことになるという。
13年間保管
同プロジェクトは、増加するインターネット上でのテロリスト募集の監視、爆発危険物の盗難などの緊急対策等を含む、テロ対策パッケージの一部になる。
もしこのプロジェクトがEU27カ国で承認されれば、航空会社は、まず離陸前24時間以内と搭乗が終わった時点での2回、データを当事国の「旅客者情報局」に渡さなければならない。これはEU圏内に出入りする航空機の旅客に関して行われ、EU 圏内の飛行では行われない。
このデータは13年間保管され ( アメリカは14年間保管する ) 、保管されてから5年以降はある条件下でのみ参照できる形に凍結される。
スイスは?
この提案はEU27カ国が、全員一致で承認する必要があり、承認されれば、これに関する法律が2010年から発効される。
スイスは「シェンゲン協定」に調印し、2008年から正式に加盟することになっており、この法律が発効されれば、スイスに入国するEU27カ国以外の外国人に対して、こうしたデータ収集を行わなければならない。
EU の法務長官フランコ・フラッティーニ氏は先週、スイスもEU圏内へのテロリスト侵入を好まないはずだと述べた上で、「このデータ収集は、スイスも含めたシェンゲン協定加盟国間で実施したい」と強調した。
これに対しスイス内務省は即時の回答を避け、「スイスにとって、こうした対策が何の意味をもつか検討してからだ」とサシャ・ハルデッゲー広報担当は短くコメントした。
swissinfo、外電
補足情報
シェンゲン協定
1985年、ヨーロッパ各国間の出入国審査を撤廃する目的でつくられた協定。現在イギリスとアイルランドを除く、西欧13カ国とノルウェー、アイスランドの計15カ国が協定に加盟している。スイスは2008年春に加盟することになっている。
またEUは11月8日、2008年3月までに同協定の適用範囲を拡大することで一致した。新たに加盟するのは、スイスや、2004年にEUに加盟したポーランド、チェコ、バルト3国などの9カ国で、計24カ国になる。

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