スイスの視点を10言語で

ミャンマーは「破滅状態」 スイスの国連特使

Military vhicles at roadblock
ミャンマー軍は昨年11月の総選挙の結果に不服を示し、暴力的に政権奪取した Keystone / Maung Longlan

国連のミャンマー担当特使を務めるブルゲナー氏は、ミャンマーが長期にわたる軍事独裁政権や国際的孤立、人権の抑圧に逆戻りする危険性があると話した。

スイス出身の外交官で国連のミャンマー担当特使、クリスティン・シュラーナー・ブルゲナー氏は1日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)外部リンクで、ミャンマーの情勢に大きな懸念を抱いていると語った。

「ミャンマーは破滅状態だ。50年来の独裁政権下にあった2011年以前に逆戻りしている」と指摘した。「同国を民主化するためのあらゆる取り組みも、選挙後にもたらされた前向きな動きも、全て再び駄目になってしまう恐れがある」

ミャンマー軍は1日、アウンサンスーチー政権に対するクーデターを起こし権力を掌握した。ノーベル賞受賞者のスーチー氏は同日、自身が率いる国民民主連盟(NLD)党の他の指導者とともに拘束されたと報じられている。NLDは、昨年11月の総選挙で圧勝した。

国連安全保障理事会は2日に会合を開き、クーデターへの対応について話し合う。ブルゲナー特使は、今後数日でNLDと国軍が支援する最大野党・連邦団結発展党(USDP)との衝突が激化し、より不安定な状況に陥る可能性があると懸念する。

特使は「総選挙で圧勝したNLDの支持者たちが、街頭に出て抗議するのではないか。彼らが国軍やUSDP支持者、仏教過激派と衝突する可能性がある。暴力沙汰になるのを防ぐ必要がある」と指摘した。また不安定な状況により反政府勢力との停戦交渉が後退し、結果としてロヒンギャ難民の帰還が遅れる恐れもある。

軍が通信システムを遮断したため、ミャンマー軍指導部とは未だ連絡を取れていない。ブルゲナー氏はミャンマーに駐留している国連職員2人と連絡を取り続けていると話した。

ニュース

ビクトリノックスのアーミーナイフ製造現場

おすすめの記事

ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。

もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
管制室

おすすめの記事

スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。

もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
裁判所のドア

おすすめの記事

「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。

もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
財布からお金を取り出す人

おすすめの記事

スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。

もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
対空防衛システム

おすすめの記事

米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

このコンテンツが公開されたのは、 米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。

もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部