The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

スイス内閣「ハマスはテロ組織とみなされるべき」

道路
イスラエル南部スデロットの街の様子。11日撮影 Keystone / Martin Divisek

スイス連邦内閣は、パレスチナのイスラム組織ハマスがテロ組織とみなされるべきだという見方を示した。政府の中東タスクフォースが、そのための法的選択肢を検討する。

スイスは日本などと異なり、ハマスをテロ組織に指定していない。

政府は11日の声明で、「ハマスがガザ地区からイスラエルの民間人に対して行ったテロ行為を最も強い言葉で非難し、自国を防衛し国家の安全を守りたいというイスラエルの正当な欲求を認める」と述べた。また、ハマスが拉致した人質の即時解放と暴力の即時停止を求めた。

イスラエル軍は、7日の急襲によるイスラエル側の死者は1200人、負傷者は2700人を超えたと発表した。一方、パレスチナ当局によれば、ガザ地区への報復攻撃で1055人が死亡、5184人が負傷した。国連によると、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員9人が死亡した。

スイス政府は、民間人を保護し、国際人道法を尊重しなければならないと繰り返し述べた。

政府は外務省の中東タスクフォースを拡大。内務省、国防省、司法省のほか、連邦内閣も参加する。

外務省はまた、スイスが中東のNGOに供与する資金がハマスの利益につながらないよう、改めて資金の流れを見直す。

スイスはまた、情勢緩和のためのサービスも提供する。

「テロリストの攻撃」

スイス国民議会(下院)安全保障政策委員会は10日、連邦内閣に対し、ハマスの活動を禁止する措置の導入を要請。内閣もこれに踏襲した格好だ。同種の要求は過去にも出ているが、議会で否決された。

イスラム国やアルカイダ、それに関連する組織は既にスイスでテロ組織に分類されているが、ハマスはそれに含まれていない。

たがイグナツィオ・カシス外相は9日、ハマスに対しても同様の措置を取る可能性を示唆した。

ハマスがテロ組織として分類されている国には、欧州連合(EU)、米国、カナダがある。ウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は2日、ハマスによる「テロ攻撃」は「戦争行為」と表現した。

スイス政府の決定は、イスラエルのイファト・レシェフ駐スイス大使の立場と一致している。レシェフ氏は11日、スイスの通信社Keystone-SDAのインタビューに応じ「スイスが、ハマスをテロ組織指定している国々の仲間入りをするよう心から望む」と述べた。

スイスの中立性との両立性について問われると「中立だからといって、悪を見たときにそれを糾弾しないということではない」と答えた。

特別便

スイス・インターナショナルエアラインズ(SWISS)は、当初の予定を変更し、12日にテルアビブから第3の特別便を運航すると発表した。第1便は224人を乗せて10日、チューリヒに到着。第2便は11日の夕方に出発した。

イスラエルとパレスチナ自治区には約2万8000人のスイス人が住む。

外務省は11日、犠牲者・行方不明者の中にスイス人やスイスとイスラエルの二重国籍者が含まれていないか調査中であることを明らかにした。

英語からの翻訳:宇田薫

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

大西卓哉飛行士

おすすめの記事

宇宙研究

国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献

このコンテンツが公開されたのは、 日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。

もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
ジュネーブのトラム

おすすめの記事

気候適応

ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増

このコンテンツが公開されたのは、 ジュネーブ州では13日、バスやトラム(路面電車)など公共交通機関が終日無料となった。オゾン濃度が急増したことへの対応で、スイスでは初めての措置だ。

もっと読む ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
湖に飛び込もうとする男性の後ろ姿

おすすめの記事

スイスで記録的暑さ 政府が警告

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで全国的に気温が上昇し、猛暑への警戒が強まっている。11日にはスイス西部と南部ティチーノ州の一部地域に対し、熱中症など健康被害を受けるリスクが大きい「危険度3」の警報が発令された。

もっと読む スイスで記録的暑さ 政府が警告
作家のアドルフ・ムシュク氏

おすすめの記事

文化

知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞

このコンテンツが公開されたのは、 ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。

もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

農業ビジネス

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部