イスラエル南部スデロットの街の様子。11日撮影
Keystone / Martin Divisek
スイス連邦内閣は、パレスチナのイスラム組織ハマスがテロ組織とみなされるべきだという見方を示した。政府の中東タスクフォースが、そのための法的選択肢を検討する。
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スイスは日本などと異なり、ハマスをテロ組織に指定していない。
政府は11日の声明で、「ハマスがガザ地区からイスラエルの民間人に対して行ったテロ行為を最も強い言葉で非難し、自国を防衛し国家の安全を守りたいというイスラエルの正当な欲求を認める」と述べた。また、ハマスが拉致した人質の即時解放と暴力の即時停止を求めた。
イスラエル軍は、7日の急襲によるイスラエル側の死者は1200人、負傷者は2700人を超えたと発表した。一方、パレスチナ当局によれば、ガザ地区への報復攻撃で1055人が死亡、5184人が負傷した。国連によると、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員9人が死亡した。
スイス政府は、民間人を保護し、国際人道法を尊重しなければならないと繰り返し述べた。
政府は外務省の中東タスクフォースを拡大。内務省、国防省、司法省のほか、連邦内閣も参加する。
外務省はまた、スイスが中東のNGOに供与する資金がハマスの利益につながらないよう、改めて資金の流れを見直す。
スイスはまた、情勢緩和のためのサービスも提供する。
「テロリストの攻撃」
スイス国民議会(下院)安全保障政策委員会は10日、連邦内閣に対し、ハマスの活動を禁止する措置の導入を要請。内閣もこれに踏襲した格好だ。同種の要求は過去にも出ているが、議会で否決された。
イスラム国やアルカイダ、それに関連する組織は既にスイスでテロ組織に分類されているが、ハマスはそれに含まれていない。
たがイグナツィオ・カシス外相は9日、ハマスに対しても同様の措置を取る可能性を示唆した。
ハマスがテロ組織として分類されている国には、欧州連合(EU)、米国、カナダがある。ウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は2日、ハマスによる「テロ攻撃」は「戦争行為」と表現した。
スイス政府の決定は、イスラエルのイファト・レシェフ駐スイス大使の立場と一致している。レシェフ氏は11日、スイスの通信社Keystone-SDAのインタビューに応じ「スイスが、ハマスをテロ組織指定している国々の仲間入りをするよう心から望む」と述べた。
スイスの中立性との両立性について問われると「中立だからといって、悪を見たときにそれを糾弾しないということではない」と答えた。
特別便
スイス・インターナショナルエアラインズ(SWISS)は、当初の予定を変更し、12日にテルアビブから第3の特別便を運航すると発表した。第1便は224人を乗せて10日、チューリヒに到着。第2便は11日の夕方に出発した。
イスラエルとパレスチナ自治区には約2万8000人のスイス人が住む。
外務省は11日、犠牲者・行方不明者の中にスイス人やスイスとイスラエルの二重国籍者が含まれていないか調査中であることを明らかにした。
英語からの翻訳:宇田薫
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