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アイスクリームの溶け方

Maja Schaffner/ETH Zürich

アイスクリームのおいしい季節。しかし、気温が高ければアイスクリームも溶けやすい。手がべとべとになったり、服を汚したりするといった思わぬ事態になり、涼しさを味わいたいという当初の願いも台無しになってしまうこともある。

このコンテンツは 2009/08/09 15:25

アイスクリームメーカーにとって、形がなるべく崩れにくい製品を開発することは大きな課題だ。各社はこぞって、アイスクリームの溶ける様子や時間などを測定しながら、乳化剤や安定剤の量を調節している。

ETHZのスピンオフ

分析機械は「食品メーカー各企業がそれぞれ開発しているが、基準はまちまちで、不正確」。ここにビジネスチャンスを見出したアドリアン・デュリク氏は、「メルトダウン・アナライザー」を工業用に開発し昨年から食品加工業界に売り込もうとしている。

連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) の食品加工技術学科で学んだデュリク氏の師事したエーリヒ・ヴィントハブ教授は、1990年代後半から、長期にわたり低脂肪であってもマイルドに舌の上で溶け、しかも形を作りやすいアイスクリームの開発を進めていた。その際必要となったのが、アイスクリームの溶け方を測定する機械だったという。

市販されていなかったため、独自に開発した。教授から、この機械を工業用に作り変え販売することを提案されたデュリク氏は、ETHZからのスピンオフ企業「チェルタ・フィデス ( Certa Fides GmbH ) 」を立ち上げ、現在にいたっている。ETHZ卒業後、いったん就職したものの「常に独立を考えていた」とETHZが発行する雑誌に語っている。

応用可能で受注見込む

メルトダウン・アナライザー ( Meltdown Analyzer ) の仕組みは簡単。スチールの箱の中に4つの四角い枠がぶら下がっている。測定したいアイスクリームは一定の型に流して凍らせ、枠の上に乗せるだけ。底は網状になっているので、溶けだしたアイスクリームは受け皿に流れ出す。その様子は2秒ごとに4台のカメラが映像としてとらえ、だんだんと軽くなるアイスクリームの重量を記録したデータとともにコンピューターが解析する。得られたデータをもとに、溶け度をスタンダード化することも可能だ。

デュリク氏は現在、メルトダウン・アナライザーを応用し「掬い取り力」を分析する機械を開発中という。この測定器は、固体をスプーンで掬う際に必要な力を測定する。たとえば、アイスクリームが固く凍ってしまい、スプーンでひっかきながら食べるということのない固さにしたり、パンに塗るバターの固さを調節したりするために使われることを念頭に置いたものだ。スイスのバターは固く、ナイフで擦りつけてもパンの上で塊が転がることもしばしば。最近はやや柔らかいバターがケースに入って売られるようになったが「消費者の望む固さを追求するのに役立つはず」。

メルトダウン・アナライザーについては、複数の企業と商談は進んでいるものの、1台4万フラン ( 約350万円 ) の測定器の受注はまだない。しかし
「アイスクリームほかデザート製造業界や原材料の卸業界からの需要はあるはず。応用すれば、ホイップクリームやチョコレートムースばかりではなくヘアームースを安定させるためのデータの分析もできる」
とデュリク氏はその可能性に期待を寄せる。

佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch

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