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気候研究のトップポジションを守るベルン大学

1967年、グリーンランドの氷上で野外調査を行う気候研究のパイオニア、ハンス・エシュガー Werner Stauffer

ベルン大学は10月9日、新設された気候研究センター「エシュガー気候変動研究センター ( OCCR ) 」をオープンした。この先、さまざまな分野がここに集結する。

このコンテンツは 2007/10/20 15:25

この新センターによって、ベルン大学が気候研究で占めている世界トップの座はより強固になった。

「ベルン大学の気候研究は今でもすでに世界のトップレベルにある。エシュガー気候変動研究センターの開設でこの分野をさらに強化したい」と力説するのは、ベルン大学地理学教授のマーティン・グロジャン氏だ。

気候研究のパイオニア

グロジャン氏は、ベルン大学も参画しているスイス気候研究 ( NCCR Climate ) を率いている。そしてこの度、新設された研究センターの所長も兼任することになった。こちらのセンターでは南極やグリーンランドの氷床コア、気候の再現などが行われる。この分野での国際競争は非常に厳しい。

この新しい研究所とともに、ベルン大学は気候が影響を及ぼす経済学や社会系諸科学などの分野でもトップを目指そうとしている。グロジャン氏によると、現在は気候の変動がもたらす経済的影響や危険への対処の仕方が議論の中心になっているという。

この研究所の名称は、1998年に逝去したベルン出身の環境物理学者ハンス・エシュガーにちなんでつけられた。彼は氷床深層掘削や氷の分析の方法を考案し、大気圏中の二酸化炭素の割合が、石炭や石油、天然ガスの燃焼によって過去250年間でおよそ3割増加したことを突き止めた。このような認識をもたらしたことから、エシュガーは「気候研究の父」と呼ばれるのみばかりか、ベルン大学をもこの分野のリーダー格に押し上げることとなった。

広大な分野

そのエシュガーに捧げられたこのセンターでは、気候やその影響を研究するベルン大学の施設や学部がすべて合流する。これには伝統的な科学や地理学、物理、化学、生物学などが含まれるほか、国民経済、環境史、医学なども関わってくる。医学では特に、浮遊粒子状物質やオゾンに関する研究が行われている。

ベルン大学ではこのような活動に備えて教授職を増やすほか、研究や教育の強化に向けてこれまでの講師を最高4人まで教授に昇格させる予定だ。

気候研究で世界をリードするベルン大学は、チューリヒ連邦工科大学の協力を得て2年間の修士課程も提供している。この国際的なプログラムに参加できるのは年間わずか20人。その選考は厳しい。「ベルンは競合に耐えうる大学ですし、世界もそのように認識しています」とグロジャン氏。

修士課程を終えた卒業生は、世界のトップ気候研究者であるハインツ・ヴァンナー氏やトーマス・シュトッカー氏などに追随していくだろう。元アメリカ副大統領アル・ゴア氏制作の世界的なヒット映画「不都合な真実」で利用されたデータは彼らがはじき出したものだ。この作品はオスカーも受賞している。

著名伝道師

グロジャン氏は、「この映画の反響にはとても驚きました。しかし、あの事実は、数年前にすでに一部公表されていたのです」と語る。

科学はこのような伝道師を必要としている。そのことは、ゴア氏のこの映画や元世界銀行エコノミスト、ニコラス・スターン卿の報告によく表れている。「有名人がわれわれのデータを使うと、世間や金融業界、経済界はそれをまったく別の目で見るのです」

しかし、それに寄与しているのは元アメリカ副大統領や元世界銀行チーフエコノミストだけではない。グロジャン氏などスイス気候研究に関わっている研究員たちは、スイス全国津々浦々で、最新の研究に関する講演を年間550回から600回も行っている。気候研究とはなんとも骨の折れる仕事なのだ。

swissinfo、レナート・キュンツィ 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳

ハンス・エシュガー

世界的に有名な物理学者。1927年生まれ、1998年没。

今日では、地球システム科学の創設者とみなされている。

1963年、ベルン大学に気候物理学科と環境物理学科を開設。

1970年代、地球の熱収支の異常に初めて注目。

南極とグリーンランドにおける氷床深層掘削のパイオニア。

化石資源の燃焼で大気圏の二酸化炭素濃度が過去250年間に3割増加したことを証明した。

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気候研究の最高峰

ベルン大学は気候研究で世界をリード。

ハインツ・ヴァンナー氏やトーマス・シュトッカー氏などの気候研究者は、パイオニアであるハンス・エシュガーの後継者。

彼らの研究結果は、オスカーを受賞したアル・ゴア氏の映画「不都合な真実」のベースとなっている。

国際連合(UN)「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の気候報告もまた、ベルン大学の研究結果に基づいている。

ベルン大学は、「スイス気候研究の中心地である」として連邦政府が公認する気候のトップ研究施設。

ベルン大学は、新設されたエシュガー気候変動研究センターでこのトップポジションをさらに確立させたい意向。

気候史家クリスティアン・プフィスター氏の分析もまた根底を築くものである。

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